あらすじ
長屋に住んでる粗忽者たち。
どこからか幽霊の出る屋敷があると聞きつけ、もの知りのご隠居さんに尋ねてみると、さすがご隠居、そりゃあ番町の皿屋敷のことだと、すぐに教えてくれました。
お菊さんの悲しいさだめを聞かされた好奇心旺盛の連中は、幽霊の出る井戸へと向かうことにしたのです。
でも、お菊さんが九枚まで数えてしまうと、みんなたたられて、死んでしまうから、六枚の所で返ってくるようにとご隠居からは、きつく言い聞かされます。
さて、屋敷に着いて、井戸のそばに身を隠すとお菊さんの出てくるのをおっかなびっくり待ちうけておりました。
やがて、丑三つ時、鐘の音が、ぼーん、ぼーんと、聞こえると、皿を抱えた幽霊のお菊さんが現れ、
「一まーい、二まーい……」と数えはじめます。
連中、びくびくしながらも、「いいおんなだねえ。女房にしたいねえ」なんてのんきなことを考えてしまい、そして「六まーい……」で、あわてて命からがら逃げ出すのでした。
お菊さんにすっかり見せられた連中は、スリルを味わいながらも二度、三度と足繁く通うようになりまして、やがてそのうわさは町中に広まります。
お菊さんの井戸の周りは、いつのまにか人垣でいっぱい。
しまいには、商売までしようなんてものも出てきたりして……
さてそのうち、お菊さんが出る時分になるってえと、おはやしやら、鳴り物やら、やたら演出効果も凝ってきて、もう、一躍スターのような存在。
しかしあまりに頻繁に観客が来るので、お菊さんも疲れからかぜをひいてしまい、咳をしながらでは、なかなか勘定もはかどりません。
そんなある日の夜、いつものようにその時間、例の長屋の連中が、お菊さんを待ち受けておりまして、「六まーい……」のところへきたのですが、どうにもこうにも、観客が多すぎて、前へ進めません。
「やばいよ、これじゃあ、おれたち死んじまう!」と、あたふたしておりますと、「九まーい……」
とうとう九枚になってしまいます。
「もうだめだ」と思っておりますと……
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