★男はつらいよ 第32作 口笛を吹く寅次郎 あらすじ・キャスト・登場人物相関図

男はつらいよ

第32作 1983年(昭和58年)12月28日公開


第8作『寅さん恋歌』で家庭の大切さを、第22作『噂の寅さん』で、人間のはかなさを寅さんに教えてくれた博の父:飃一郎(ひょういちろう)の法事で、岡山にやってきたさくらたちは、寅さんが坊さんになっているのでビックリ仰天。
啖呵売(たんかばい)で鍛えた説法は、ありがたい功徳の光明を発するがごとく迷える一切衆生を救わんと欲す。
マドンナ役の朋子(竹下景子)の弟:一道(中井貴一)と、幼なじみのひろみ(杉田かおる)のエピソードを織り交ぜながら交錯する人間模様。朋子のために僧籍に入る決意までする寅さんの奮闘努力ぶりが描かれた、幸福感に満ちあふれた名作。

ワンポイント補足
愛の告白をされようとしているのに自分から冗談にしてしまう寅さんの哀愁漂う作品。
劇中で博の父:飈一郎(ひょういちろう)が亡くなったとの設定になっているが役を演じた志村喬は前年の1982年(昭和57年)御逝去。後の『男はつらいよ 寅さん紅の花』(第48作)での寅さんの台詞から、朋子は再婚したことが語られている。

キャスト・登場人物

  • 車寅次郎:渥美清(55)
  • 諏訪さくら:倍賞千恵子(42)
  • 諏訪博:前田吟(39)
  • 諏訪満男:吉岡秀隆(13)
  • 車竜造:下條正巳(68)
  • 車つね:三崎千恵子(63)
  • タコ社長:太宰久雄(60)
  • 御前様:笠智衆(79)
  • 源公:佐藤蛾次郎(39)

  • タコ社長秘書:マキノ佐代子(29)
  • タクシー運転手:関敬六(55)
  • 柴又駅員:人見明(61)
  • 毅(博の長兄):梅野泰靖(50)
  • 修(博の次兄):穂積隆信(52)
  • はんこ屋:長門勇(51)
  • 親方熊の新妻:あき竹城(36)
  • 蕎麦屋の店員:石倉三郎(37)
  • 親方熊:レオナルド熊(48)
  • 石橋泰道:松村達雄(69)博の父・諏訪飃一郎の菩提寺、備中高梁にある蓮台寺の住職。墓参に来た寅さんと意気投合。二日酔いで法事に行けなくなったところを、寅さんがピンチヒッターをつとめ、本当は息子・一道(中井貴一)に寺を継いでもらいたいのだが……
  • 石橋一道:中井貴一(22)蓮台寺の長男。本来は跡取りとして寺を継がねばならない立場だが、大学の学費をカメラに注ぎ込み、キャメラマンを目指して上京する。幼なじみのひろみ(杉田かおる)に恋しているが……
  • ひろみ:杉田かおる(19)備中高梁の酒屋の娘。病気の父を支えながら、店の配達など切り盛りしている。東京へ出た、幼なじみの一道に会うため、上京。とらやを訪ねる。

マドンナ:石橋朋子/竹下景子(当時30歳)

備中高梁の蓮台寺の住職・石橋泰道(松村達雄)の長女。かつて結婚に失敗、今は、父を支えて寺を切り盛りしている。口癖は「ありゃりゃ」。弟・一道(中井貴一)がカメラマン志望のため、婿養子をとって寺を継がねばならないと思い始めている。その候補に寅さんが……


高校在学中にNHK「中学生群像(中学生日記の前身)」でデビューを果たし、大学進学とともに、女優活動を開始。テレビドラマで活躍後、黒木和雄監督『祭りの準備』(75年)に出演、その後も『犬笛』(78年)などに出演。シリーズでは、第32作『口笛を吹く寅次郎』(83年)の朋子、第38作『知床慕情』(87年)のりん子、第41作『寅次郎心の旅路』(89年)の久美子と、三たびマドンナ役を演じている。

あらすじ(ネタバレ注意)

備中は高梁。そこは博の実家のある城下町、博の亡父の三回忌を思い出し墓参りに立ち寄った寅さんは、そこで寺の和尚(松村達雄)と、娘の朋子(竹下景子)出会う。
勧められるままに上り込んだ寅さん。酒席の場はおおいに盛り上り、和尚と寅さんは意気投合。
和尚に気に入られた寅さんは、あろうことか二日酔いの和尚に代わって法事の説法を垂れることになる。それがまた、どっかんどっかん大ウケ!

寅さんのありがたい御法話 一部始終

えー、おばあちゃんは九十二歳の天寿をまっとうしたと伺っております。本日この七回目の法要に、かくも大勢の関係者が集まられるということで、個人の人柄が偲ばれます。人間この世に生まれて来る時もたっった独り。そして、死んでいく時もたっった独りでございます。なんと寂しいことではございませんか。

天に軌道があるごとく、人それぞれに運命の星というもを持っております。とかく子(ね)の干支のかたは終わり晩年が色情的関係においてよくない!
未(ひつじ)の女は門(かど)にも立たすな。巳(へび)の女は執念深い。
奥さん(はんこ屋の妻)、失礼じゃがあなた、眉と眉の間、すなわちこの印堂に陰りがある。ということは、ご主人の浮気で泣かされている相であります。ご主人、なかなかの二枚目でございますなァ。

奥さん「和尚さん、お見通しじゃあなあ」
はんこ屋「あほ!わしゃ遊びはもうやめとるよ」
奥さん「うそ!うそ言いんさい!」
寅さん「あなたがやめてもおなごがほっとかんでしょう」
一同大爆笑

啖呵売で鍛え上げた寅さんの名調子の弁舌がすっかり檀家の人々に気に入られ、和尚に乞われるまま寺に住み着く事になる。
そんな寅さんのもとに、やがてさくらたちが三回忌のために訪れ、びっくり仰天!すったもんだの大騒ぎ。

実は和尚には、寺を継ぐはずの長男がいた。しかし、大学をやめて東京の写真スタジオで働くという一道(中井貴一)を和尚は勘当同然に追い出していたのだ。一道には病弱な父を支えて酒屋を切り盛りしているひろみ(杉田かおる)という恋人がいた。

ある夜、入浴中の和尚と湯加減を心配する朋子の会話を聞いた。
「寅さんを養子に貰うか……」
その会話を耳にした寅さんは、翌朝、書き置き残して柴又に帰る。

寅さんは、帝釈天の門を叩き、御前様のもとで僧侶になるための修行を積む事を決心するが、朋子が寅さんの後を追い柴又まで訪ねてきて二人は再会。朋子は「寅さんと結婚したい」とほのめかすのだが……

ロケ地

追記:RICOH-SP200/タコ社長が満男にプレゼントしたパソコン

満男が操作しているパソコンは、1983年6月に発売されたリコー製 RICOH-SP200
『もぐタコたたきゲーム』を立ち上げている。

博が遺産をタコ社長の会社のオフセット印刷機購入に投資したお礼にもらったもの。

 

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