★立川談志/浮世根問

柳家小さん(五代目)

浮世根問(うきよねどい)、または無学者論として知られるこの古典落語は、知識を誇示することの空虚さをユーモラスに描いた作品です。もともとは江戸時代のエピソード「根問」に由来し、似たような話として「薬缶」という話もあります。

この話の主要な演者には、五代目柳家小さんが有名です。彼らの芸の特徴は、結末を含めて時代の変化に合わせていく柔軟さです。特にこの演目では、終わり方が注目されます。かつては仏壇のロウソク立てが鶴亀のデザインであったことにちなんだオチが用いられていましたが、現代の観客には馴染みがないため、工夫を凝らした結末にすることが多いのです。

物語は、知ったかぶりをする隠居を質問攻めにして困らせる八五郎の話です。
八五郎はまず、「嫁入り」という言葉が本来「娘入り」であるべきではないかと問い始めます。そして、話は慶事の象徴である鶴亀が死んだ後どこに行くのか、という方向に進みます。隠居は極楽に行くと答えますが、八五郎はさらに極楽がどこにあるかを尋ねます。隠居は自宅の仏壇を指差し、極楽はここにあると答えます。すると八五郎は、「それなら鶴や亀は仏になってここに来るのか」と聞きます。隠居は動物は仏になれないと答えると、八五郎はどうやってここに来るのかと詰め寄ります。最終的に隠居は、「ろうそく立てになる」と答えるのです。

この物語は、知識を誇示する人物を巧みに茶化し、同時に時代の変遷を反映した結末が面白いところです。

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