※2023年11月15日(水) 09:23追記更新
まるでブラックホールのようなベンタブラック(ヴァンタブラック)
[出典:POPULAR SCIENCE http://www.popsci.com/only-one-artist-can-use-blackest-material-in-world]
ベンタブラック(Vantablack)は、カーボンナノチューブから構成される、可視光の最大99.965%を吸収する物質。光が当たると、それを跳ね返すのではなく「チューブの森」に捉え、チューブ内を何度も屈折させ最終的には吸収されて熱として放散される。
英国Surrey NanoSystems社が製造するベンタブラック®は、地上で最も黒い物質である、反射率0.2%のブラックコーティングです。衛星搭載の黒体校正システムの一部として開発されたベンタブラックは、独特の物理的特性と光学的特性を活かし、衛星搭載機器から美術品まで、様々な用途のコーティング材として幅広い利用が見込まれます。
スプレー方式のベンタブラック S-VIS(反射率0.2%)を使用することで様々な形状の筐体へのコーティングが可能になります。
はじめて、Vantablackを見たひとは、そのあまりの違和感に、ちょっと戸惑うのではないでしょうか。僕も初めてみたときは、戦時中の墨塗り教科書を連想しました。(使ったことないけど)
まるで画像の一部を黒で塗りつぶしているようにしか見えませんよね。
ヴァンタブラックは、墨の黒さとは比較にならないほどの真っ黒くろすけなんですね。
【以下引用します】
「世界一黒い物質」、英企業が開発
英ロンドン郊外で開催中のファーンボロー国際航空ショーに出展され、話題を呼んでいる黒い物質。英企業が開発した「世界で最も黒い物質」はまるでブラックホールのように光を吸い込み、それで覆われた物体の形状を人間の目で見分けることはできない。
「ベンタブラック」と名付けられたこの物質は光の99.96%を吸収する。
黒い塗料や布地などに見られる通常の黒色は吸収率が95~98%。開発元のサリー・ナノシステムズ社によれば、英国立物理学研究所や米国立標準技術研究所で試験されたなかで最も黒い物質だという。
ベンタブラックは直径2~3ナノメートル(ナノは10億分の1)の多数のカーボンナノチューブ(筒状炭素分子)からできており、アルミホイル上で生成される。
ホイルだけのときは目に付く表面のしわも、ベンタブラックに覆われるとまるで消えてしまったかのように識別できなくなる。
「穴のようだと言う人もいる。ホイル上のでこぼこを識別するのに必要なだけの光が文字通り出てこないから」と、同社のスティーブ・ノーザム氏は言う。
[出典:CNN.co.jp]
光をほとんど吸収するので(反射しないので)凸凹が見えなくなってしまうんですね。
驚愕の光吸収実験!
照射された光が見えなくなるマジックのなようなシーンです。
2014年に開発されたヴァンタブラックですが、2016年現在さらに光の吸収率を高める実験を進めているそうです。
ベンタブラックの科学とアートの融合
科学とアートは時として、予想外の形で融合し、私たちの想像を超える作品を生み出します。その最たる例が、ベンタブラックです。ベンタブラックは、光の99.965%を吸収することができる、世界で最も黒い物質として知られています。
この素材は元々、宇宙産業や軍事用途での使用を目的として開発されました。しかし、その特異な特性は、芸術家たちの想像力を刺激し、新たなアートの形を生み出しています。ベンタブラックは、見る角度によって色や形が変わるように見え、その神秘的な美しさで、多くの人々を魅了しています。
例えば、アーティストのアニッシュ・カプーアはベンタブラックを使用して、観る者を無限の暗闇へと誘う作品を創り出しました。彼の作品は、光と影、物質と空間の関係を再定義し、観る者に深い思索を促します。
一方で、科学の観点から見ると、ベンタブラックは非常に興味深い素材です。この素材は、炭素ナノチューブを密集させて作られており、その構造が光を捕捉し、反射を防ぐことで、極端な黒さを実現しています。これは、物理学だけでなく、材料科学の観点からも重要な発見であり、今後さまざまな分野での応用が期待されています。
ベンタブラックのような素材は、科学技術の進歩がどのようにアートに影響を与えるかの素晴らしい例です。この黒いキャンバスは、無限の可能性を秘めており、今後も多くのアーティストや科学者によって新たな境地が開かれることでしょう。
この素材の魅力は、単なる色の深さにとどまりません。それは、私たちが物理的な世界とどのように向き合うか、また、見えないものをどのように感じ取るかという問いを投げかけています。ベンタブラックを通じて、私たちは新たな感覚や発想を探求し、未知の領域への扉を開くことができるのです。
ベンタブラックの科学とアートの融合は、私たちに新しい視点を提供します。この暗闇の中に、光と影の新しい物語が生まれ、私たちの感性を刺激し続けることでしょう。
暗闇を超える色、ベンタブラックの神秘
暗闇を超える色、それがベンタブラックです。この驚異的な物質は、光の99.965%を吸収する能力を持ち、観る者を深い黒の世界へと誘います。ベンタブラックは、単なる色ではなく、光と影の境界を曖昧にする神秘的な存在です。
この素材の開発は、宇宙産業や軍事用途を目的としていましたが、その特殊な特性はすぐに芸術界の注目を集めました。ベンタブラックを使用した作品は、見る角度や光の当たり方によって異なる印象を与え、観る者に深い感動を与えます。
たとえば、一部のアーティストはベンタブラックを用いて、形と色の概念を超えた作品を創り出しています。これらの作品は、空間と物体の境界をぼかし、観る者に無限の想像力をかき立てます。ベンタブラックの黒は、観る者を空間の奥深くへと誘い、未知の世界への旅へと導くのです。
科学的に見ると、ベンタブラックの成し得ることは、物理学と材料科学の革新的な進歩を象徴しています。この素材は炭素ナノチューブから成り、そのユニークな構造が極端な黒さを実現しています。この発見は、科学のみならず、アートの世界にも新たな可能性をもたらしました。
このように、ベンタブラックは科学とアートの境界を曖昧にし、両者の融合を促進しています。この素材は、アーティストに無限のインスピレーションを与え、科学者には新たな挑戦を提起しています。
ベンタブラックの魅力は、その視覚的なインパクトに留まらず、私たちの知覚の仕方や、物質をどのように理解するかという根本的な問いを投げかけています。この極端な黒さは、私たちの感覚を拡張し、新しい発見へと導いてくれるのです。
ベンタブラックは科学とアートの架け橋として、私たちに新しい視点を提供します。この神秘的な色を通じて、光と影の新しい物語が紡がれ、私たちの創造性を刺激し続けることでしょう。
ブラックがあるなら、ホワイトがあってもいいじゃない?
「ヴァンタブラック」があるのなら「ヴァンタホワイト」があってもいいじゃない?
って、思うのはいつまでも少年の心を忘れない人が考えることです。
では、光をほぼ100%近く反射する白ってあるのでしょうか?
はい!
ありましたありました。(ググりました)
白は、全ての色の可視光線が乱反射されたときに、その物体の表面を見た人間が知覚する色である。
無彩色で、膨張色である。100%の反射率を持った「理想的な白色」の物体は実在しない。
現在、ほぼ理想的な白色物質として利用されているのが酸化マグネシウムや硫酸バリウムであり、これらは可視光線のほぼ全領域にわたって99%以上の反射率を示す良好な白色素材である。
工業的にはチタン白・二酸化チタンが多用される。鉛白は油絵具に使われる。[出典:wikipedia]
なるほど、白は乱反射された光を見た時の色なんですね。
と、いうことで、ヴァンタホワイトは、二酸化チタンあたりに該当するようです。
白塗りすると白さが映えて、いいそうです。
ヴァンタブラック技術を応用した商品
これの技術を服に応用したらどうだろうか?
そう、考える商人(あきんど)たちは多いに違いない。
そんな質問を開発者にしてみたところ、秒速で却下されたようだ。
ボール紙の切り抜きみたいに見えるでしょう、と開発者のノーザム氏は語る。
想像図。こんなかんじらしい。
↓
ううむ……
所長がつくったコラージュがあまりにも下手くそなので、なんとも言えないけれど
頭部と腕、脚がだけが三次元で、ドレスは二次元的な感じになるのでしょうねえ……
たしかに、おかしな感じがします。
イメージに近いのはこんな感じでしょうか。(全身黒塗りもおかしいけど)
ヴァンタブラックは、不必要な光を抑制することによって性能が向上するもの……
たとえば空撮カメラや宇宙望遠鏡、赤外線スキャンシステム、などへの応用が考えられているそうです。
2023年02月01日(水)追記
2019年にMIT(マサチューセッツ工科大学)が吸収率99.995%の物質を発表するまで既知の「最も黒い物質」であった。
※更新情報
2015年01月17日:初稿
2016年03月14日:Vantablackの日本語表記と記事の一部変更及び最新情報追記
2023年02月01日:追記動画2点追加
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