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#日本生きろ! ホセ・ムヒカ大統領インタビューまとめ 書き起こし

      2016/04/13

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「ムヒカ大統領のメッセージ」2015年10月11日 Mr.サンデー拡大スペシャル

2015年10月11日(日)放送「Mr.サンデー拡大スペシャル」より

ムヒカ氏へのインタビュー・日本語訳書き起こし

「私は、7歳の時に父を亡くしてね。当時母は、少ない父の年金すら15年ももらえず、苦しんでいた。小さな畑を耕してね。そこで栽培していたもので生活していたんだ」

母一人の働きが家計を支える極貧生活の中、貴重な収入源だったのが、幼いムヒカ氏も手伝ったという「花の栽培」でした。

しかも、そのきっかけは……

「実は、家の近所に10軒か15軒ぐらいの日本人家族がいてね。みんな花を栽培していたんだ。幼い私も育て方を教わり、家計を助けたよ。彼らはすごい働き者でね。昔ながらの日本人だった。農民の思考で、狭い土地に多くのものを耕していた」

幼いムヒカ少年の心に刻まれた、働き者で土に根差した日本人のイメージ……。

しかし、そんな極貧時代の経験が、彼を闘う男へと変貌させます。

20代は、南米最強の極左都市ゲリラ「ツパマロス」に加入。

腐敗する権力に闘いを挑み、数々の襲撃事件に加わります。

6発の銃弾を浴びながら、4度の投獄、2度の脱獄を経て、13年間の牢獄生活を送りました。

「50年前の私たちは、富を平等に分配することによって世界を良くできると考えていたんだ。でも、今になって気づいたのは、人間の文化そのものを変えないと何も変わらないということだ」

『極端な思想だけでは社会は変わらない』そう気づいた頃、彼は再び、日本人の魂と出会うことになります。

「ここには、日本の造船会社が来ていてね。日本人技術者が大勢働いていたんだ。その子供たちはここで成長し、自転車で学校へ通い、ここでサッカーを覚えたんだ。ある日、日本人の子供が試合に出ていてね。激しいプレーで頭をけがして血を流してた。ついにはコートから出された。その子は泣いていたよ。でも、傷が痛いからじゃない。最後までプレーできないことが悔しくて、名誉心で泣いていたんだ」

(名誉と何ですか?と聞かれ)

「任務を最後まで全うするということかな。自分が引き受けたスポーツでの任務をね。君たちの文化では、とても大切なことだろう?」

その頃から、日本の文化に強く心惹かれてきたと言います。

こうした異文化への探求心が、時同じくして、ムヒカ氏を政治家への道、すなわち、『世界一貧しい大統領』へと歩ませます。

ムヒカ氏が新人議員の頃の映像を見ると、自宅から国会まで、ノーネクタイ、スクーターで出かけ、デニムジャケット姿で公務を行っています。

2010年3月、第40代ウルグアイ大統領に就任すると、宣誓陳述書に挙げた個人資産は、およそ18万円という中古のドイツ車1台のみ。

また、給料のおよそ9割を社会福祉のために寄付し、残りの1割、わずか10万円ほどで暮らしてきたと言います。

そんな彼を、いつしか世界中のメディアが、『世界一貧しい大統領』と取り上げるようになります。

(『世界一貧しい大統領』と世界中から言われてきましたが、率直にどう思われていましたか?と聞かれ)

「私は、みんな豊かさというものを勘違いしていると思うんだよ。大統領は”王家のような生活””皇帝のような生活”をしなければと思い込んでいるようでね。私はそうは思わないんだ。大統領というのは多数派が選ぶのだから、多数の人と同じ生活をしなければいけないんだ。国民の生活レベルが上がれば自分もちょっと上げる、少数派じゃいけないんだ」

『国を治める者の生活は、その国の平均でなければならない』それが命を張り、権力の腐敗と闘ってきた男の覚悟であり、信念でした。

こうして自分を厳しく律する一方、人への優しさを感じさせる、”ある伝説”が世界を駆け巡りました。

道端で途方に暮れていた男性のヒッチハイクを歓迎したのが、大統領その人だったのです。

思えば大統領時代、テレビの生放送中に、突然ホームレスから金をねだられた時も……。

ホームレス)汚いコイン1枚でいいんだ。

ムヒカ大統領)兄弟、コインはないなあ。泣くんじゃない。ほら、頑張るんだぞ。

ホームレス)ずっと大統領でいてくれよ。

ムヒカ大統領)やだやだ!御免だよ!帽子を回してお金を集めよう。

そこには、厳しさと優しさがあり、『人間の幸せとは何か』を考える哲学と行動がありました。

そして、その集大成が、伝説のスピーチとなりました。

「貧乏とは、少ししか持っていないことではなく、限りなく多くを必要とし、もっともっとと欲しがることである。ハイパー消費社会を続けるためには、商品の寿命を縮めて、できるだけ多く売らなければなりません。10万時間持つ電球を作れるのに、1000時間しか持たない電球しか売ってはいけない社会にいるのです。長持ちする電球は作ってはいけないのです。もっと働くため、もっと売るための使い捨て社会なのです。私たちは発展するために生まれてきたわけではありません。幸せになるために地球にやって来たのです」

そしてムヒカ氏は、私たち日本について語り始めました。

「日本人は魂を失った」

「日本人が失った魂」とは!?

2015年3月1日、自らの後任の新大統領就任式、彼の頑固ぶりは健在でした。

新大統領にたすきを渡すセレモニー。

しかし、ムヒカ氏の首にネクタイはありません。

異常なほどのネクタイ嫌い。

その訳を、彼は日本を例に、こう語ったことがあります。

(2014年・キューバ・ハバナにて)

「我々もイギリス紳士のような服装をしなければならない。それが世界中に強制されたものだからです。日本人ですら信用を得るために着物を放棄しなければならなかった。みんながネクタイを締めて変装しなければならなくなった」

彼にとってネクタイとは、欧米の価値観一色に塗りつぶされてしまった世界の象徴だったのです。

そして、その彼の哲学の根底には、『日本への尊敬の念』と『私たちの歴史への深い理解』がありました。

「ペリー提督が、まだ扉を閉ざしていたころの日本を訪れた時の話さ。当時の日本は『西洋人は泥棒』って思っていた時代だね。あながち間違いではなかったけど。賢い政策で対応したとは思うよ。西洋にある進んだ技術に対抗できないことを認め、彼らに勝る技術をつくろうと頑張ったんだ。そしてそれを成し遂げてしまった……。実際にね。でもそのとき、日本人は魂を失った」

日本人が失った魂、それはいったい何のことなのでしょうか?

「人間は必要なものを得るために、頑張らなきゃいけないときもある。けれど、必要以上のモノはいらない。幸せな人生を送るには、重荷を背負ってはならないと思うんだ。長旅を始めるときと同じさ。長い旅に出るときに、50kgのリュックを背負っていたら、たとえいろんなモノが入っていても、歩くことはできない。よく分からないけど、100年前 150年前の日本人は、私と同意見だったと思うよ。今の日本人は賛成じゃないかもしれないけどね」

多くのモノを持たず、それ以上を望まなかったかつての日本人。

たしかに、『足るを知る』を美徳とした文化は、いつしか私たちの手のひらから、こぼれ落ちてしまいました。

(今の日本についてどうお考えでしょうか?と聞かれ)

「産業社会に振り回されていると思うよ。すごい進歩を遂げた国だとは思う。だけど本当に日本人が幸せなのかは疑問なんだ。西洋の悪いところをマネして、日本の性質を忘れてしまったんだと思う。日本文化の根源をね。幸せとは、物を買うことと勘違いしているからだよ。幸せは、人間のように命あるものからしかもらえないんだ。物は幸せにしてくれない。幸せにしてくれるのは、生き物なんだ」

『物は、人を幸せにはしてくれない』だからこそ、自分はこんな暮らしをしていると語ったムヒカ氏。

「私はシンプルなんだよ。無駄遣いしたり、いろんな物を買い込むのが好きじゃないんだ。その方が、時間が残ると思うから。もっと自由だからだよ。なぜ自由か……?あまり消費しないことで、大量に購入した物の支払いに追われ、必死に仕事をする必要がないからさ。根本的な問題は、君が何かを買う時、お金で買っているわけではないということさ。そのお金を得るために使った『時間』で買っているんだよ。請求書やクレジットカードローンなどを支払うために働く必要があるのなら、それは自由ではないんだ。」

幸せに暮らすため、自由でいるために、みんなが物を欲しがらない暮らし。

しかし、この現代において、本当にそんなことが可能なのでしょうか?

(その世界は実現可能だと思いますか?と聞かれ)

「とても難しいね。君が日本を変えることはできない。でも、自分の考え方を変えることはできるんだよ。世の中に惑わされずに、自分をコントロールすることはできる。分かってくれるかな?君のように若い人は、恋するための時間が必要なんだ。子供ができたら、子供と過ごす時間が必要だし、友達がいたら、友達と過ごす時間が必要なんだ。働いて働いて働いて、職場との往復を続けていたら、いつの間にか老人になって、唯一できたことは、請求書を払うこと。若さを奪われてはいけないよ。ちょっとずつ使いなさい。そう、まるで素晴らしいものを味わうように……。生きることにまっしぐらに」

自らの体で闘い、導き出した信念だからこそ、そこに、引き込まれるような言葉が生まれます。

ムヒカ氏の現在の夢……

『ウルグアイの子供たちを育てること』

自らの土地に農業学校を建てて、子供たちに花の栽培などを教えると言います。

そう、かつて日本人の先達が、ムヒカ少年に生きる術を教えたように。

私たちがさきほど見たあの子供たちは、ムヒカ学校に通う生徒たちだったのです。

(そこに学校をつくるのは一つの夢だったと思いますが、この先の夢・目標はありますか?と聞かれ)

「私がいなくなったときに、他の人の運命を変えるような若い子たちが残るように貢献したいんだ。本当のリーダーとは、多くの事柄を成し遂げる人ではなく、自分をはるかに超えるような人材を残す人だと思うから」

いつの日か、そんな若者たちの中から、本当にムヒカ氏の言葉を実現してしまう人材が生まれてくるのかも知れません。(S.A)

(了)

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