あらすじ
大工の八五郎が御店(おたな)の家のそばを通りかかったので、ちょいと顔を見ようと寄ってみると、
あいにく大将は寄り合いで出かけていて、奥さんに出迎えられ、奥さんの薦めで茶を飲んでいると裏の方でえらくトンカン音がする。
何をやっているのかと聞くと、なんでも茶室を建てているとのことだった。
そこで八五郎は「この不景気に茶室を建てるとはおたくの大将は働き者ですね!!」とひとつおだてると、奥さんは
「うちの人の働きではございません。町内の若い衆がよってたかってこしらえてくれたようなもんです」
と八五郎にも花を持たせてくれたのでやや喜びつつ、帰路につく。
その途中。そんな立派な親分の妻に対して自分の妻のことを考えると情けなく思えてきて、家に帰ってから自分の女房にそんなこと言えるかと聞いてみると
「言ってやるから家でも建ててみろ」と痛いことを言われ、ややしょぼくれながら銭湯に行く。
その途中、友人の半七に出会い、自分ん家に行って女房に「おたくの大将は働き者ですね!!」と言ってどういう返答をするかを聞いてくるよう頼み込む。
半七はしぶしぶ家に行き、いざその台詞を言おうと八五郎の家の褒められそうなところを探すが、これがなかなかない。
そうしていると奥さんが妊娠していることに気づいたため、
「この不景気に子供こしらえるなんて、おたくの大将は働き者ですね!!」と褒めたたえると、奥さんは
「何言ってんのよ。うちの人の働きではないわよ。町内の若い衆がよってたかってこしらえてくれたようなもんよ」
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