★三遊亭圓楽(五代目)宮戸川 (お花半七馴れ初め)

三遊亭圓楽(五代目)

解説

宮戸川という川は、現在の隅田川の一部に相当する。
隅田川の浅草周辺流域が、当時は宮戸川と呼ばれていた。
この噺は、『宮戸川』という名称ではあるが、ほとんどの落語家は前半部分のみを演じる場合が多く、その際、『お花半七馴れ初め(お花半七なれそめ)』や『お花半七』という題で紹介される場合がある。

前半のみの場合、宮戸川が噺に登場せず、題と噺の関係が見出せない。
上下通しで話すと時間がかかる上に、後半部分は夢オチとなるとはいえ凄惨な展開となるため、口演される機会は少ない。

最近では五街道雲助と柳家喬太郎の通し口演の評価が高い。

お花半七馴れ初め

小網町に住む半七は、友人宅で大好きな将棋を指していて帰りが遅くなってしまい、締め出しを食ってしまった。
お花も友人宅でカルタをしていたら帰りが遅くなり、締め出しを食ってしまったという。
半七は締め出しを食らうと、いつも霊岸島に住む叔父の家に一晩お世話になっている。

その叔父は近所で『飲み込みの久太』と呼ばれており、先読みをしすぎてしまう人物である。
お花は、「そこで私も一晩お世話になりたい」と半七に申し出るが、半七は「叔父に勘違いされると、どうなるか分からない」と断り、一人で行こうとする。
しかし、お花は付いてきてしまう。
そのまま叔父の家に着いてしまい、案の定勘違いを受けてしまい、布団が一組しかない2階へ二人は案内される。
二人きりになると、お花は満更でもない態度をとる。
そのうち、雷鳴が鳴り響き、お花は怯えて半七の胸元へ飛び込む。
お花の着物がはだけ、半七は我慢の限界になり、お花の体へ手を伸ばす…
(前半のみの場合「ここでお時間です」と下げる。)

後半

二人は夫婦になり暮らしていたある日、お花が浅草寺へお参りに行く。
帰りに雷雨に遭ってしまい、小僧に傘を取りに帰らせる。
小僧が戻ってくると忽然とお花は消え去っていた。
半七は懸命になって探すが、行方知れずのまま1年が過ぎてしまう。
半七がたまたま乗った船の船頭に「昨年の夏に、浅草寺でふと見かけた お花をさらい、嬲り者にした上、顔をみられたため発覚を恐れ殺して、宮戸川へ放り込んだんだ」と聞かされ、犯人の一人であると知る。
これは、うたた寝していた半七の夢であり、お花は無事に帰ってくる。
起こされた半七は、「夢は小僧(五臓)の使い(疲れ)だ」と下げる。

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