知られざる女子少年院の実態
女子少年院を1年間”唯一”取材した「極妻」作家・家田荘子が暴露!
非行少女たちの心の闇……更生率95%の実態……
集団リンチ加担。なぜ少女たちは堕ちていったのか?
知られざる女子少年院の真実を大暴露!
めったに経験できない、とても貴重な取材
暴露するのは、「極道の妻たち」で有名な、作家・僧侶の家田荘子さん。
女子少年院は、日本に9ヶ所あります。家田さんが取材したのは、群馬県にある「榛名女子学園」という、日本で一番大きな女子少年院でした。1年間、毎週通って取材したそうです。
そもそも、少年院とは……
罪を犯した少年少女の中でも、特に、施設で更生させる必要がある罪を犯した少年少女が、移送されるところです。実は、女子少年院に1年間通って取材できたのは、後にも先にも、家田さんだけなのだそうです。
女子少年院の環境は?
犯した罪は、家出常習とか万引き常習、売春、クスリ、窃盗、傷害、殺人……
入っている期間が、半年から2年半くらいですけど、だいたい1年半くらいが多いそうです。
更生するための教育機関で、刑務所と違って罰するところではありません。
殺風景なイメージですが、女子なので、部屋の中はピンクとか、色が使われています。
柵みたいなものもありますが、それも、丸みを帯びた、可愛い形になっています。ただ、全て鍵がついているので、鍵なしでは出入り出来ないようになっています。服装は、ブレザーの制服にスカート、スポーツをする時の体操着もあります。それから、普段着のトレーナーとショートパンツとかもあります。
家田さんが取材した時は、14歳~20歳未満の女子が、全部で80~100名ほどいて、年齢ごとに3つのグループに分かれて、集団寮生活を送っていたと言います。
衣類から筆記用具、はぶらしなどの日用品は、全て支給されます。勝手な私語は禁止、先生による24時間体制の指導が入る中、少女たちは、普段どのように過ごしているのでしょうか?
女子少年院の生活は?
夜7時から、NHKニュースを、全員が必ず観ます。夜8時から45分までは、みんなで何のテレビ番組を観るかを決めます。ミュージック・ステーション(Mステ)とか。
その時は、その場所にいるのですが、他の用事をしてもいいし、勉強しながらテレビを観てもいいです。9時消灯なので、8時45分までなのです。観るテレビ番組は、あらかじめ1ヶ月分決めて、表にしています。
そんな女子少年院では、それぞれに与えられた教育プログラムをこなして、更生を目指していきます。
非行少女の更生する確率は?
女子の少年院の場合、更生率が95%です。男子は、70~80%になります。この男女の差は、男子の場合は、家庭の修復ができないほど、悲惨な家族関係が多いからだそうです。女子の場合は、家族に愛されていたとわかったうえで家に帰り、これ以上迷惑をかけられないと切に思うため、かなり更生できるのだそうです。
しかし、男子の場合は、見捨てられている子もいたりして、裏社会の方に行ってしまう子もいます。家田さんは、最初の原因は、親・家庭だと言います。親との会話が上手くいかなくなったり、自分の居場所が家にないと思うようになった子たちが、外に居場所を求めていきます。
外に居場所を求め、いられる場所がだいたい繁華街になります。そこに、下心を持った男の人が、狙ってやってくるのです。先生も親も聞いてくれなかった自分の話を聞いてくれる「その男性」に恋心が芽生えて、深い関係になっていきます。そうすると、クスリを教えられたり……
「ちょっと事故っちゃって、今お金が必要だから、先輩のところで働いてくれる?」と、(夜の世界など)良くない所で働かされる……そうして、どんどん引きずられていってしまうのです。
「自分は愛されていないのでは?」と親の愛に対する不信感から道を踏み外す少女たち。
そんな少女たちを、女子少年院では、どのようにして更生へと導くのでしょうか?
女子少年院で行われている、更生へ導く方法とは?
子どもたちには、「内省」というものがあります。狭い部屋に入って壁を見つめて、過去を振り返るのです。
「今日は、5歳のときの事を思い出してみましょう」
「お父さんが何をしてくれましたか?」
「お母さんが何を作ってくれましたか?」
「おばあちゃんとどこに行きましたか?」
全部思い出して、夜、書き留めます。これを、1週間続けます。
そういうことをやっていくと、
「自分は愛されていたんだ」
「お母さんが作ってくれたアップルパイの味が忘れられない」
「お父さんは不器用で、上手く言葉で表現できなかっただけだ」
いろんなことがわかってきて、
「私は愛されていた」
「だったら、あの家に帰りたいから、頑張って更生しよう」
そのようになっていくのだそうです。
健全な生活に戻るための独自の教育プログラムとは?
「社会適応訓練」というのがあって、5人くらいでお芝居をやります。
そして、「実際にその場に出くわした時に、断れる練習をしましょう」
先輩などとカラオケをやっていて、これから帰らなければいけない、これが言えるかどうかの練習をします。
みんなが手を挙げて、「私、主役やります」とか言って、みんなで始めます。
「先輩、私、門限がありますから帰ります」
「えー、これから彼氏の話も聞かないといけないし……」
「でも、後10分しかないので帰ります。また連絡しますから」
このようにした後、みんなで、どこが良かったかを話し合います。
「先輩の顔を見て言ったことがいい」
「立ち上がって断ったからいい」
このように、少年院を出たあとの場面を想定して練習するのです。
少女Kが激白した、集団リンチ事件の全貌を暴露
毎年報じられる、少年少女による凄惨な暴力事件。家田さんが聞き取り取材した少女の中で、集団暴行に加担して、被害者に重傷を負わせた家出少女のKという子がいたそうです。主犯が男子で、その彼女というケースでした。最初は、暴行を見てられないと言って移動しますが、それでも暴行は続きます。
彼女たちが思うのは、「人は死なない」
ゲームをやっている子たちなので、『人は甦る』と、本気で思っているのです。
虐められてた子も、意識を失っても、また起き上がります。
ただ殴るだけではなく、裸にして、制汗スプレーなどをかけて火をつけたり、ティッシュに火をつけて体毛を焼いたり。
そのうちに、見ていた(加害者の女の子K)彼女がムカついてきて、「選手交代」って言われた時に、「じゃあ」って殴ってしまった……
一度殴ってしまったら、エスカレートしてどんどんやってしまって、被害者が命を落とす寸前まで、一方的な暴力は続きました。主犯の少年の彼女だったKも、暴行の罪で逮捕され、榛名女子学園に移送されました。
「あなたはこの手で人を殴ったのよ、どう思う?」って聞いたら、
「えっ、この手が?そんなこと考えたことなかった」と唖然としていました。
傍観者でしたが、少年たちの暴行に、つい加担してしまったKは、自分の犯した罪と向き合いながら、更生の道を歩んでいます。
「本当は人のためになることがしたい、それが好きだ」ということで、介護士になるための勉強をしていて、実技もきちんとやっていたそうです。
しかし、介護士として生活する前に、まずは、保護司や弁護士と相談しながら、被害者と会って謝罪することから、始めていかなければならないということなのです。
(了)
[出典:2016年2月11日放送「ヨソで言わんとい亭~ココだけの話が聞けるマル秘料亭~」]
おとなしい少女、生き延びるための逸脱…… 女子少年院テーマの映画監督が語る実像とは
元暴走族リーダーで少年院出身という異色の経歴を持つ映画監督、中村すえこさん(45)が11月、「女子少年院の少女たち―『普通』に生きることがわからなかった」(さくら舎)を出版した。女子少年院をテーマにした2019年夏公開のドキュメンタリー映画「記憶」の撮影秘話などを赤裸々につづっている。映画で中村さんが追ったのは、「札付きの不良」とは異なる、おとなしくて優しい子どもたち。少年院にやってくる現代の少女の実像とは。
支える側の苦悩も如実に描く
映画の主な舞台は、全国に九つある女子少年院の一つ、「榛名女子学園」(群馬県榛東村)。
主役は仮名で佳奈、美和、沙羅、遙香という17~19歳の4人の少女たちだ。
少年院での様子や中村さんによるインタビューにとどまらず、少年院を出た後も密着してさまざまな角度から少女たちの内面に迫る。
これらドキュメンタリー部分に加え、生い立ちや少年院に入る原因となった事件は、再現ドラマとなって随所に挿入される。
4人が抱える事情はさまざま。佳奈は幼い頃から児童養護施設に預けられ、高校受験に失敗すると、「自立」を理由に施設を追われた。
親を頼れない子どもが15歳で社会に放り出されて生きていく過酷さは想像に難くない。
付き合った彼氏に勧められるまま覚醒剤に手を出し、17歳の時に逮捕された。
約1年間の少年院生活を経て「仮退院」を迎えた日、佳奈は「初めて甘えられた相手」だという法務教官たちと抱き合い、涙で見送られる。迎えに来たのは、佳奈の社会復帰を応援するという大阪市内の美容院の社長、黒川洋司さん(49)。希望にあふれ、感動的な場面だ……[出典:https://mainichi.jp/articles/20201201/k00/00m/040/356000c]
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※更新履歴
2023年02月02日(木)動画・参考関連書籍等追加更新
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