★桂文楽(八代目)按摩の炬燵

桂文楽(八代目)

あらすじ

冬の寒い晩、出入りの按摩(あんま)に腰を揉ませている、ある大店の番頭。
「年を取ると寒さが身にこたえる」とこぼすので、按摩が
「近ごろは電気炬燵という、けっこうなものが出てきたのに、おたくではお使いではないんですかい」
と聞くと
「若い者はとかく火の用心が悪いから、店を預かる者として、万一を考えて使わない」と、いう。

番頭は下戸なので、酒で体を温めることもできない。
按摩は同情して、
「昔から生炬燵といって、金持ちのご隠居が、十代の女の子を二人寝かしておいて、その間に入って寝たという話があるが、自分は、酒は底なしの方で、酔っていい心持ちになると、からだが火のように火照って、十分その生炬燵になるから、ひとつ私で温まってください」と、申し出た。

「いくらなんでもそれは」と遠慮しても、
「ぜひに」と言うので、番頭も好意に甘えることにし、按摩にしこたま飲ませて、背中に足を乗せて行火(あんか)代わり。
おかげで、番頭は気持ちよさそうに寝入ってしまう。

ところが、ようすを聞いた店の若い連中が、我も我もと押し寄せたから、さあ大変。
ぎゅうぎゅう詰めで、我先にむしゃぶりついたから、そのうるさいこと。

歯ぎしりする奴やら寝言を言う奴やらで、さすがの「生炬燵」もすっかり閉口。
そのうち、十一になる丁稚(でっち)の定吉が、活版屋の小僧とけんかしている夢でも見たか、大声で寝言を言ったので、
「ああ、かわいいもんだ」を、思わず「しっかりやれ」と、ハッパをかけたのが間違いのもと。

定吉、夢の中で
「何を言ってやがる。まごまごしやがると小便をひっかけるぞ」と叫ぶが早いか、本当にやってしまった。

おかげで「炬燵」の周りは大洪水。番頭も目を覚まし、布団を替えたり寝巻きを着替えたりで、大騒ぎ。

「せっかく温まったところを、定吉のためにまた冷えてしまった。気の毒だが、もういっぺん炬燵になっとくれ」

「もういけません。今の小便で火が消えました」

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