PR

あんた、「運び屋」したら人生終わりやで!東南アジアやったら死刑やで!/危険ドラッグ!覚せい剤!薬物犯罪事件を追う男たち #1,988-0618

雑学・豆知識

更新履歴
2015年06月26日:初投稿
2026年06月18日(木):薬物事犯の最新統計に更新、報道記事からの引用箇所を独自文章に書き改めて著作権リスクを解消、事件関係者の表記をプライバシーに配慮した形に修正

スポンサーリンク

覚醒剤・大麻・危険ドラッグ 薬物犯罪の最前線で闘う麻薬取締官「マトリ」に聞く

危険な罠

空港の税関エリアには、麻薬密輸への注意を呼びかけるポスターが掲示されている。

hakobiya-posuta

ポスターは、他人から預かった荷物であっても携行者自身が責任を問われること、そして「知らなかった」という説明では罪を免れないことを、強い言葉で警告している。この警告の背後には、誰の身にも起こり得る危険な罠が潜んでいる。

運び屋にされた

2012年8月23日、関西国際空港。アフリカのウガンダを訪れていた当時25歳の女子大学生が帰国した際、税関の手荷物検査でスーツケース内のコーヒー豆袋から覚醒剤が見つかり、その場で逮捕された。発見された覚醒剤は約1.85キログラム、末端価格にして約1億5000万円相当だった。

女子大学生は、覚醒剤の存在を知らなかったと一貫して主張した。インターネットで知り合った男性から「ウガンダで翻訳の仕事をしないか」と誘われて渡航し、現地で書類を受け取る対価として、土産用のコーヒー豆袋を渡されたのだという。渡航を手配した当時24歳の元会社員の女性も、同じく覚醒剤取締法違反の罪で起訴された。

2013年9月27日、大阪地方裁判所の裁判員裁判は、両被告に無罪を言い渡した。判決は、女子大学生が税関で申告書類の記載方法を係員に尋ねていたことなどから、袋の中身が違法薬物だと認識していたとは認められないと指摘した。手配役の女性についても、報酬を要求した形跡がなく、女子大学生と連絡が取れなくなった際に自ら警察へ相談していたことから、密輸の認識があったとは言えないと判断された。

海外で薬物が発見された場合、無実を立証することは日本国内よりもはるかに難しい。中国など一部の国では、運び屋として薬物を所持していた日本人に死刑が求刑された例も報じられている。薬物と無関係だと思っている人ほど、この種の罠に巻き込まれる危険が大きい。

伝説のマトリ

密輸事件だけでなく、薬物犯罪は様々な形で日常に潜んでいる。危険ドラッグの蔓延、若年層への拡大、芸能界の薬物汚染——こうした犯罪に立ち向かうのが、厚生労働省の地方厚生局麻薬取締部に所属する麻薬取締官、通称「マトリ」と呼ばれる人々である。

麻薬取締官は司法警察員として捜査権を持ち、警察官には認められていない「おとり捜査」を行うことができる特別な国家公務員だ。採用には国家公務員採用一般職試験への合格、または薬剤師国家資格の取得が条件となり、厚生労働省麻薬取締部の採用試験を経て任命される。マトリの約半数は薬剤師資格の保持者だとされる。

2015年6月の放送当時、取材に応じたのは麻薬取締官として長年の捜査経験を持つ3名だった。麻薬取締官歴37年・元関東信越厚生局の浦上厚氏(放送時72歳)、同じく麻薬取締官歴37年・元関東信越厚生局の小林潔氏(放送時72歳)、麻薬取締官歴36年・元九州厚生局の高濱良次氏(放送時67歳)である。

特に、海外は怖い

6月26日は、国連が主催する「国際麻薬乱用撲滅デー」である。

危険な薬物の種類としては、麻薬(コカイン、ヘロイン、LSD、MDMAなど)、大麻(マリファナ、ハシッシュ)、覚醒剤(アンフェタミン、メタンフェタミン)、危険ドラッグ(指定薬物として規制されている物質は2026年時点で約2,480種類)が挙げられる。それぞれ規制する法律が異なり、細かく定められている。

危険ドラッグは2014年から2015年にかけての規制強化で市場が大きく縮小したが、近年は成分構造を一部変えた新たな製品が出回る動きが報告されており、政府は2023年に対策会議を開いて監視・取り締まりの強化を確認した。厚生労働省は2025年から2026年にかけても新たな指定薬物の追加を続けている。

海外旅行者が運び屋に利用されるケースは後を絶たない。関西空港の事件のように日本国内では無罪となる場合もあるが、東南アジアの一部の国では、一定量以上の薬物の所持・密輸に死刑が科される場合がある。外国で拘束された場合、無実を立証するのは容易ではない。

ラブコネクションとは?

「ラブコネクション」とは、恋人を装って薬物を運ばせる手口を指す。現地の人物が日本人女性と親密になり、帰国時に缶詰や果物などをスーツケースの内部に縫い込んでプレゼントするケースが報告されている。本人は内容を知らないため不審な様子を見せず、最初の渡航では税関を通過できることもあるが、同じ経路を繰り返すうちに発覚するケースが多いという。

税関で摘発された薬物密輸の手口

放送で麻薬取締官が紹介した摘発事例のうち、特に印象的だったものには次のような手口があった。いずれも麻薬取締官の証言として番組内で紹介された内容であり、独自の裏付け取材を行ったものではない。

二重底のスーツケースや靴底、土産物の中に薬物を隠す手口は典型的なものだが、より巧妙な事例も報告されている。ギターのボディを切り開いた中に約3キログラム、末端価格約4億円相当のコカインが隠されていた事例。辞書の中身を薬物の形に合わせて精密にくり抜き、隠していた事例。アボカドの中身を取り除いて薬物を詰め、果物特有の匂いで麻薬探知犬の嗅覚をかわそうとした事例。覚醒剤を溶かして赤く着色し、ラー油の瓶に詰めて密輸しようとした事例では、約10キログラム、末端価格約7億円相当が押収されたという。

女性が豊胸手術によって胸の中にコカインを隠していた事例も紹介された。挙動不審な様子から税関で発覚し、病院で摘出されたという。また、ロードローラーのローラー部分に約110キログラム、末端価格約90億円相当の覚醒剤を隠していた事例は、マトリ史上最大規模の押収とされる。大阪税関では、覚醒剤を小分けにした袋を飲み込んで体内に隠し密輸を図った男が、トイレに同行した税関職員によって発見された事例もあったという。

空港ではどうやって見つける?

スーツケースの受け取り場周辺では、麻薬探知犬が手荷物の匂いを確認し、不審な反応があったものはX線検査にかけられる。経験を積んだ検査官は、乗客の挙動や話し方、動作の変化からも判断材料を得るという。

麻薬探知犬についての補足

放送では、麻薬探知犬は訓練の過程で薬物の匂いを繰り返し吸い込むため中毒になり、3年から5年ほどで引退するという説明がなされていた。しかし、一般的な探知犬の訓練は、密閉された容器に入れた薬物のサンプルと玩具や褒美を結びつける嗅覚訓練によって行われ、犬が薬物そのものを摂取・吸入することは想定されていない。

「中毒になる」という説明は、国内外の探知犬訓練に関する一般的な知見と一致せず、現時点で独立した裏付けは確認できなかった。実際の探知犬の現役期間は犬種や個体によって差があり、数年から十年近くに及ぶ例も報告されている。

事件簿 中学生を覚醒剤中毒にした手口

東京都内のカラオケボックスで、無料サービスの飴を切れ目にして客に錠剤を渡していた事例が紹介された。中学生のA君は、友人とともに訪れたカラオケボックスで、いつもの無料の飴がないことを店員に尋ねたところ、代わりに錠剤を渡された。これが覚醒剤だったという。

最初は無料の飴に微量の覚醒剤を付着させて常習性を持たせ、ある段階で本物の覚醒剤に切り替えるという手口が用いられていたとされる。この種の事例では、店員自身、あるいは店とつながりのある人物が売人を兼ねているケースが多いという。常習化させた後、親の財布から金を抜き取らせるなどして資金を集めさせ、薬物の常習者に仕立て上げる手口が報告されている。

事件簿 息子を助けようとした父親が覚醒剤中毒になった事例

香川県内の小学校で教頭を務めていたBさんの息子は、覚醒剤の常習者だった。Bさんは息子を何度も注意したが、やめさせることができなかった。

ある日、自宅で息子が覚醒剤を注射する場面を目撃したBさんは、激しく叱責した上で、「これで最後にしろ」という約束を息子と交わすため、自らも覚醒剤を注射してしまったという。その結果、Bさん自身も覚醒剤中毒に陥った。一度の摂取が人生を狂わせる典型例として、当時の新聞でも報じられた。

事件簿 主婦に広がった覚醒剤乱用

2009年、宮城県では覚醒剤取締法違反の容疑で、ごく普通の主婦3人が逮捕された。仲間の一人が密売人に電話で連絡し、県内の駐車場で受け渡しを行っていたという。

主婦らが覚醒剤に手を出した動機として、放送では「ダイエット目的」が紹介されていた。覚醒剤には強い食欲抑制作用があり、使用初期に体重が急激に減少することがあるとされるが、これは健康を著しく損なう中毒症状の一つであり、痩身法として用いることは極めて危険である。急激な体重減少は栄養失調や脱水によるものであり、継続すれば外見の急変や深刻な健康被害、精神症状につながる。

覚醒剤の依存者が新たな使用者を勧誘する動機としては、紹介料として薬物を受け取れることや、購入者を増やしてグループで購入することで価格を下げられることが指摘されている。一度使用すると依存から離脱することが難しく、倦怠感の軽減や活動性の高まりを感じるといった体感の変化が、繰り返し使用につながるとされる。

麻薬取締官の捜査現場

薬物の値段は種類によって異なり、安価なものでは一回分5,000円程度、一般的な購入量である2〜3回分で1万円程度とされる。

かつては捜査官が薬物を舌で確認し真偽を判断する「味覚捜査」が行われていたが、昭和40年代以降、米国の捜査官が確認の際に体調を崩した事例を受けて廃止されたという。現役時代の麻薬取締官は、薬物常習者の肌の色や痩せ方、独特の体臭、冬でも冷たい飲み物を好む傾向などから、使用者を見分けることができたと述べている。

潜入捜査では、組員が集まる飲食店に客として通い、声をかけられるのを待つことから始まる。前科がないことを疑われないよう、服役経験を聞かれた場合に備えて虚偽の経歴を用意しておく必要がある。組事務所への潜入が成功した後も、暴力行為を強要される場面があるが、公務員であるため手を出すことは許されず、関係を損なわないよう演技力で切り抜けることが求められる。

覚醒剤の売買を勧められた際には、「過去の組長との約束で、もう薬物には手を出さない」という理由で断ることで、密売の実態を把握しながら摘発につなげた例が紹介されている。潜入捜査やおとり捜査の現場では、コップの水に薬物を落として浮き沈みを確認することで品質を見分ける方法が使われていたという。

放送に出演した小林氏は、1980年1月にポール・マッカートニーが成田空港で大麻所持により逮捕された事件の捜査に関わったことが報道で取り上げられ、その後潜入捜査の継続が難しくなったと振り返っている。

芸能人の薬物使用に関する情報は、マネージャーや付き人など身近な人物から寄せられることが多いとされる。給与の不払いや関係の悪化が情報提供の動機になる場合もあれば、本人の将来を案じて情報を寄せる場合もあるという。薬物は、使用者本人だけでなく周囲の人間関係や人生にも深刻な影響を及ぼす。

[出典:2015年6月26日(金)放送「ダウンタウンなう」]

文責:ライターズラボ編集部(2026年06月18日(木)08:38執筆)

コメント

タイトルとURLをコピーしました