★三遊亭圓生(六代目)双蝶々(ふたつちょうちょう)

三遊亭圓生(六代目)

序~小雀長吉

八百屋の長兵衛の倅・長吉は、小さいころから手に負えない悪で、店の物はかっさらう、賽銭は盗む、悪い事については頭が良くまわった。
あるとき継母のお光に寿司を食べるからと銭をせびり、もらえないとなるとお膳を蹴飛ばして表へ飛び出してしまう。
あげく、仕事を終えてもどってきた長兵衛に嘘八百の告げ口をしてお光を困らせ、夫婦げんかにまで発展させる。
長兵衛は初め、長吉の言い分を信じお光を殴りつけるが、大家の仲裁で事実を知る。
真っ当になるよう長吉をお金を扱わない黒米問屋、山崎屋に奉公に出す。

中~小雀長吉

悪さをするくらいだから目端も利いてよく働いた。
奉公先で長吉の悪さは収まったかに見えた。
十八のとき、悪友の長五郎と組んで稲荷町の広徳寺前で盗みを働き、そこを風呂が遅いのを不審に思って付けてきた番頭の権九郎に目撃された。
権九郎は店に戻った長吉を呼びつけ、盗みを白状させ叱りつけたが、一転態度を変え、若旦那と争っている吉原の花魁を身請するために二百両必要だという。
ご主人の金庫から残りの百両という金を盗み出せと強要する。
長吉はしかたなく言われた通りに、ご主人夫婦の寝室にお腹が痛いと仮病を使い入り込み、タンスの薬箱ならぬお金を引き抜き、薬をもらって引き下がってきた。
盗んだ金を権九郎にむざむざ持っていかれるのが惜しくなり、待ち合せの場所で番頭権九郎を殺し、奥州路に逃げようかと独り言を言っているのを小僧の定吉に聞かれてしまった。
口封じのために掛け守りを買ってやるから寸法を測らせろと言って、首を絞めて殺してしまう。
番頭との約束の九つの鐘を聞いて逐電する。

下~雪の子別れ

正直・長兵衛夫婦は倅の悪事を知り、世間に顔向けが出来ないと逃げるように湯島大根畠の長屋を引き払って流転の日々を送る。
本所馬場(ばんば)町の裏長屋に越したころ、遂に長兵衛は腰が立たない病になってしまった。
内職だけでは病人を養っていけず、お光は内緒で袖乞いをして一文二文の銭を稼ぎ、なんとか食い繋いでいる。
浅草の観音様に全快祈願のお百度を踏むからと偽り、夜、隅田川縁の多田薬師石置き場で、袖を引く物乞いをしていた。
北風強くみぞれ混じりの中、たまたま奥州石巻から父の様子を探しに出てきた長吉の袖を引き、二人はひさびさの対面を果す。
長吉は子供の時分、お前に辛く当たったのも親父を取られたように思ったからで、今では申し訳無いと思っている。
と告げる。
長吉はお光に連れられ、腰の立たない父を見舞う。
50両の金を渡し元気で暮らすように言うが、長兵衛は悪事から手を洗えと言葉を重ねたが、最後は長吉をゆるし、涙ながらに今生の別れを告げる。
奥州では50人程の子分がいて自分だけ足を洗う事は出来ないと言う。
追われる身である事を察した長兵衛はもらい物の羽織を渡し、江戸から無事出られるようにと願った。
雪の降る中、後ろ髪を引かれる思いで長屋を去った長吉は、吾妻橋を渡るところでついに追手に取り囲まれ、御用となる。

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