★三遊亭圓生(六代目)心のともしび(心の灯火)

三遊亭圓生(六代目)

 

長屋暮らしで傘張りで生活している浪人。今日もうまのあう町人が遊びに来る。字を教えてくれという。
これまでも教えたが覚えが悪いので、短気な侍は手を放そうと追い返す。
次の日もやってくる。実は娘が大店から嫁入りの話が来ているが、父親が無筆では相手から馬鹿にされると、娘が縁談を断わるという。
そこで字を習いたかったのだとのこと。感動した浪人は字を教えてやることにして稽古。
「いろはにほへと」を覚えて喜ぶ二人。
浪人は
「これからは天満宮を一身に拝め。いっそう上達をいたそう。よいか」
「天満宮てえのはなんです?」
「天神様。世にあるときは菅原道真公と申され、書道の名人という。この神に一心に祈願をこめ、念ずれば一層、上達をいたそう」
「へえ、だけど、天神さまは字が読めなかったってえじゃありませんか」
「馬鹿なことを言うな。誰がこんなことを言った」
「でも、無実(無筆)の罪で流されたってえます」

[宇野信夫作]

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