”キレる”子どもにどう対処する?
キレる子ども
いま、国の最新の調査で、子どもの暴力行為が問題視されています。とくに、小学生の暴力件数は、7年間で3倍に急増!
暴力の低年齢化が深刻です。
教師歴14年の先生のお話
テストの問題を解けない自分への怒りが爆発し、いきなり、隣の席の同級生を殴ってしまう。
先生から注意された苛立ちをためこみ、自分の腕を傷つけてしまう。
以前は考えられないような原因で、キレる子どもを目の当たりにすると言います。
「やはり、自分で(感情を)コントロールできない」
「昔に比べて、自分で解決する力が弱いのかな」
中間反抗期
あさイチのアンケートでは、4人に1人の母親が、「自分の子供はキレやすい」と感じているそうです。
普通に言った言葉に、すぐ怒ったり、物に当たったり……
専門家によると、最近、「中間反抗期」という考え方がでてきているそうです。
5歳くらいから、小学校低学年の子どもたちに、「中間反抗期」が起きているのではないかと言われています。
今までは、2~3歳の「第一次反抗期」、中学校、高校の「第二次反抗期」とありましたが、その間に「中間反抗期」があるのではという考え方です。
今、保育園の5歳児のクラスが大変になってきています。
みんなで「嫌だ」を大合唱して、先生の言う事を聞かないとか。
”自分のやりたいことと、今やらなければならないことの折り合いがつかない”
昔の子どもたちも、同様のことがあったわけですが、昔は、地域の子供たち同士の交わりとか、地域の人から、多面的に子ども像を教えてもらうことが緩衝剤になっていたと言います。
ある4年生の子どもの作文・「日曜日さま」には
月曜から土曜まで習い事がある中で、日曜日が待ち遠しい……
でも、次の月曜日が怖い……
だから、次の日曜日をまた楽しみにしている……
というような内容が書かれていました。
昔は、嫌だったら習い事を休んだりしていましたが、今は、休んだら、家に電話をしてくるそうです。
そうすると、「寄り道」したり、「サボる」ことすら許されない。
小さいうちから管理されることによって、不満が蓄積されていくのだそうです。
子どもがキレたときの接し方は?
白梅学園大学教授 増田修治さんが、子どもの問題行動の専門家として、家庭で出来る対処法を伝授してくれました。
小学4年生の兄と、3歳の妹のいる家庭で、ふだんは明るくて優しいお兄ちゃんが、疲れてくればイライラして、妹とけんかしたり、突き飛ばしたりするそうです。
実際のビデオ映像を見ながら、増田先生が具体的に説明してくれます。
- 「あんた何やってんの?」と言っていません?
- まずは、子どもがキレたときには、「頭ごなしに否定しない」
- まずは、(子ども)が怒ったり、「やだな」と思ったことを認めてあげる。
- イライラしたことは、別に悪いことではない。
- 大切なのは、感情を認めながら本音を探ること。
「”怒りスイッチ”が入っちゃうのはどんなときだと自分で思ってる?」(先生)
「(妹が)しつこくてやめないとき」(男の子)
「言ってもやめないとき。じゃあ普通じゃない。」(先生)
「あとから考えるとやりすぎた……」(男の子)
「君は賢いね」(先生)
続いて、先生が提案したのは、子どもがカッとなったとき、一人になれる狭い空間を作る事。
いざというときはそこに入り、気持ちを落ち着かせてもらおうという狙いです。
リビングに学習机を置いているので、息子が一人になれる場所がないと先生は考えます。
カッとなった相手と顔を合わせない場所をつくってあげるのが効果的です。
適度に暗くすると、より落ち着けます。
壁とか物が体に接していると、人間は落ち着くそうです。
子ども部屋だと広すぎるので、狭い空間を作ってあげましょう。
一人になれる空間、クールダウンできる空間ということ。
「いつまでイライラしてんの?」と言ってしまいがちですが、まず、「どうしたの?」と聞いてあげることが大切。
優しい言葉をかけること。
「ネガティブな感情があっても良いよ、でも、その出し方をどうするか」を教えられたら良いですね。
親自身がクールダウンすることが大事ですね。
自尊心を高める授業
キレやすい子どもの「原因とその対策」について研究している、早稲田大学教育学部教授・本田恵子さんのお話。
キレやすさの背景に、「自尊心の低さ」があります。
自尊心が低いと、ささいな注意でも否定されたと思います。
しかも、自分に自信がないため、反論もできません。
そのため、キレるということでしか、自分の感情を表現できないのです。
”自尊心を高める授業”を行った学校
自分の短所を見つめ、それを長所として捉えなおすこと。
- ステップ① 自分の短所を書く。
- ステップ② 自分の短所を、友達に長所に言い換えてもらう。
短所:負けず嫌い → 長所:意志が強い、一生懸命
短所:心配性 → 長所:責任感が強い
短所:落ち込みやすくてすぐに泣く → 長所:優しい
- ステップ③ 短所→長所を自分で発表する。
みんなの前で発表し、短所も長所として受け止めてもらえる嬉しさを実感します。
自尊心が高まると、より良い自分にしようという気持ちが高まります。
家庭での声掛け
「お手伝いをしてくれてありがとう」
「あなたがいてくれて助かるわ」
「大好き」と言って抱きしめてあげる。
子どもたちの共通の想いは_
「私の気持ちを聞いてほしい」
「良い子だけをひいきしないで、平等に扱ってほしい」
たった10分の取り組みで
神奈川県のある小学校を取材。
朝8時30分に登校してきた子どもたちは、教室には入らず、校庭でサッカーを始めました。
「教室に入らないの?」
「まだワクドキやってるから」
……ワクドキタイムとは……
週に3回、登校直後の10分間は、思いっきり体を動かして遊びます。
子どもの体と心の関係を研究している、日本体育大学体育学部教授、野井真吾さんが提唱しました。
脳の前頭前野……喜怒哀楽など、動物的な感情をコントロールします。
前頭前野が発達していないために、キレる、集中できないなどの問題が起こるそうです。
前頭前野が発達していない「不活発型」の割合が、46年前は20%だったのに対し、最近は半数近くの子どもたちが「不活発型」だそうです。
そこで、野井先生が考えた対策が、朝、思いっきり体を動かすことです。
「活動することで脳が興奮し、その後集中に必要な興奮が強くなっていきます」
興奮することでアクセルが備わり、それにともなってブレーキも備わっていく。
結果、気持ちが抑えられるようになり、切り替えもできるようになるのです。
早起き
脳にあるセロトニン神経は、人間の攻撃性を抑えます。
このセロトニン神経の働きが弱まると、キレやすくなるのだそうです。
セロトニン神経が最も高まるのは、朝だと考えられています。
しっかりと朝日の刺激を与えて、規則正しい生活をすることで、キレやすさは改善されていくそうです。
何歳からでも大丈夫だそうなので、あなたも試してみてはいかがですか?
[出典:2015年5月18日放送NHK「あさイチ」]
資料:キレる子供の食生活・食事にも原因があった!
子供がキレる大きな原因は、砂糖や精製された穀類の摂りすぎにあるということは、一部の専門家たちが、かなり昔から警告していました。
砂糖や精製された穀類(白米・菓子パン・うどんなど)を、大量に摂り過ぎる生活が続くと、血糖を上手くコントロールできなくなり安定した血糖値を維持できなくなる低血糖症になります。
低血糖症になると神経過敏になり、些細なことでもキレやすくなります。
血糖値が急激に下がると、「攻撃ホルモン」と呼ばれるアドレナリンが分泌され、イライラしたり暴力的になります。
砂糖・精製された穀類の摂りすぎ → 低血糖症 → キレやすくなる
低血糖症の症状
神経過敏・キレやすい・疲れやすい・無気力・集中力欠如・うつ・めまい・眠い・頭痛・忘れっぽい・不眠・不安・精神的混乱・発作的に泣く・反社会的・恐怖症・自殺志向など。犯罪を犯した少年たちの食生活を聴き取り調査したものがあります。
2人とも朝食なしで、ジュース・炭酸飲料、スナック菓子のオンパレードで、大量の砂糖を摂取しているため低血糖症が疑われます。
犯罪に手を染める子供たちに共通している食生活は、大量の砂糖摂取です。
清涼飲料水・お菓子などから砂糖を毎日大量に摂取しており、ビタミン・ミネラルはほとんど摂っていません。
[出典:http://informationnow.xyz/]
キレる子供は食事で変わる [ 千葉三樹男 ]
参考文献
キレる子どもは必ず救える [ エリカ・V.シェリン・カレス ]
その子育ては科学的に間違っています [ 国米欣明 ]
なぜ、母親はキレる少年を守れないのか
子どもの脳に生きる力を 学級崩壊とキレる子どもの治し方 / 寺沢宏次
子どもをキレさせないおとなが逆ギレしない対処法 [ エイドリアン・フォーペル ]
子育てハッピーアドバイス大好き!が伝わるほめ方・叱り方
子育ては、愛された自分さがし [ 西内みなみ ]
子どもの怒りに対する認知行動療法ワークブック/デニス・G・スコドルスキー
なぜ小学生が“荒れる”のか [ 今泉博 ]
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