あらすじ
熊が甚兵衛さんに起こされる。
隠居の弔いを手伝いに来て、土瓶に入った酒を三つばかり飲んで寝込んでしまったのだ。
みんな帰ったので、同町内の熊を誘って帰ろうとしたという。
いただいたお強を背中に隠して帰途につく。
いい天気で大勢の人が来て、いいお弔いだったとはながらの帰り道、天国の話になり、熊は楽しいことをするのが極楽なので、吉原へ行こうと甚兵衛さんを誘う。
甚兵衛さんは女房子供にいい思いをさせてやれと諭して帰ってしまう。
ふてくされて一人吉原へ行くことにする。
呼ぶ者がいる。紙くず屋の丞公だ。婚礼の帰りだという。
自分は親方から銭を借りて、たっぷりとあるので、一緒に行かないかと誘うが、紙くず屋は銭がないという。
聞けば三銭しか持ってない。
残りは立て替えてやることにして一緒に行くことにする。
途中、紙くず屋が背中を叩いたので、隠していたお強のがんもどきのお汁が全部出て、ふんどしの所までたれて気持ちが悪い。
吉原に到着、ある店の若い衆から声をかけられる。
「お手軽に」と言われて、熊五朗は気分を害して、金を持っているんだと啖呵を切る。
弔いの帰りだというと若い衆が「はかがいく」との返事に気分をよくして、強飯を若い衆にやる。
「ありがとうございます。なんですか、ひのだとがんもどきのお汁が、たいそう少ないようですな」
「そうだ少ないんだ、そら。それ、はじめはたっぷりあったんだよ。それには訳があるの。俺が背中にしょって歩いてたら、こいつが後ろから、ど~んとどやしやがって、つゆがみんな、だ~っと出ちゃってね、今、お汁がね、俺の腹巻きからふんどしにかけて、びっしょり染みこんでんだよ。汁はこっちにあるんだ、こっちに。おめえ、汁ほしいか?欲しかったら、がんもどき出せ。」
「ふんどしの搾ってかけてやる」
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