★春風亭柳昇(五代目)日照権

春風亭柳昇(五代目)

町内に14階建てのマンションが建設されることになった。
マンションが建てば近隣の日当たりが悪くなり、日照権が侵害される!ということになり、住民たちが反対集会を開いた。
集会に眠そうな顔でやってきた与太山さんはマンション建設計画を聴いても平気な顔。

「私は夜勤なので昼間は寝ています。日当たりが悪ければよく眠れてちょうどいい」などと言い出す。
別の住民は「14階建てのマンションに対抗して、こっちも38階建てのマンションを建設しましょう」と思い切ったことを言い出す。
しかし、予算は100万円しかないという。

「100万円でマンション建設は無理ですよ」と指摘されると「だって鯛焼きは70円ですよ」などとトンチンカンな問答に。
結局、住民代表の魚屋さんが地主さんに計画中止の交渉に行くが、地主さんに「マンションの入居者は200人。魚屋さん、これから忙しくなりますよ」と言われ、「そうですか!有り難い」とお礼を言ってしまう。
さて、マンション建設の顛末は……

1970年代以降、日本中でマンション建設が多くなり、それと同時に「日照権」の問題がクローズアップされるようになった。
柳昇がこの社会問題をモチーフに創作したのがこの噺である。
住民たちのアイデアは、大真面目だがどこかが間違っていて笑いを誘う。
「日照権」という公共の問題について語り合いながらも、結局は自分だけのことになってしまうあたり、すぐれた日本人論でもある。
初演から数十年を経ても古びていない、柳昇落語の傑作!

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