横山町三丁目、栄屋という生薬屋のー人娘=お若。
年が十七で栄屋小町といわれる美人。
一中節が習いたいと言い出して、出入りの鳶頭初五郎の世話で紹介された師匠が菅野伊之助。
この伊之助、二十六歳で男っぶりが良すぎるほど良い。
深い仲になった二人を、伊之助に三十両の手切金を渡し別れさせる。
お若は根岸御行の松で町道場を開いている長尾一角の所に預けられる。
預けられても恋心のつのるー方のお若が、ある日庭のかげに立つ伊之肋を見つけ招き入れる。
伊之助も毎晩のように通い出し、そのうちお若の腹が大きくなる。
伊之助が忍んで来るのを知った一角は、鳶頭の初五郎を呼び出し、事の次第を問いただす。
すると、不思議な事に伊之助は初五郎と吉原通いで、根岸に行けるはずがない。
その晩一角は初五郎の目の前で、種子島の火縄をつけ、訪れた伊之肋を撃った。
死んだのは伊之肋ではなく大狸。
お若が伊之助を恋い慕うところから狸が姿を借りて通ったもので、十月たってお若が産み落としたのが狸のふた子。
これを手厚く葬ったのが、根岸御行の松のほとり。
「因果塚」の由来というー席。
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