あらすじ
ある大店の一人娘、おせつは昨年から何度も見合いをしているが、何やかやと理由をつけては縁談を断ってしまうので主人は憂い顔。家には跡取りがいないので、早く婿をとらなくてはならないのだ。
ある日のこと、おせつが琴の稽古に出かけたすきを見て、店の番頭が主人に注進する。
「お嬢様には悪い虫が付いています」。
びっくりする主人に、番頭はおそらく奉公人の徳三郎といい仲になっているのではないかと私見を述べる。
徳三郎は主人の遠縁で、両親がいないため、子供の頃から奉公人として店に置いてきた。
おせつと徳三郎はいわば「幼なじみ」だが、ふたりがわりない仲になっていることを主人は信じられない。
番頭は、昨年の春、おせつと徳三郎、ばあやらが向島に花見に行った折り、何かがあったに違いないと推理。
花見の供をした小僧の定吉に事情を語らせようと提案する。
番頭の言うとおり、定吉を座敷に呼んで話を聞いてみると……
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