★三遊亭圓生(六代目)引越しの夢(口入屋)

三遊亭圓生(六代目)
解説のみ

「口入屋」は上方落語の演目の一つで、東京では「引越の夢」という題で演じられます。原話は、寛政元年(1789年)に出版された『御祓川』の一編である「壬生の開帳」です。

あらすじ

大店に、口入屋(現在の職業紹介所)から、才覚も兼ね備えた絶世の美女が女中奉公にやってきます。この店には若い者が多いため、間違いが起きぬようにという店の方針で、今まで来ていたのは器量の悪い女中ばかりでした。とうとう堪え切れなくなった一番番頭が、女中を頼みに行く役を仰せつかっている丁稚の定吉を買収して美女が来るように仕組んだのです。

絶世の美女がやってきて、しかもこの日から住み込みで働くことが決まったおかげで店中が大興奮。特に張り切った一番番頭の手回しでその日は早仕舞になります。

その夜、みんなが寝静まったのをみはからい、二番番頭が起きだして二階の下女部屋に忍び込もうとした。ところが、そんな事態を想定していたおかみの配慮で梯子は二階に引き上げられて、天井の引き戸が締め切られている。困った彼は、一階と二階を貫いている膳棚を梯子代わりにすることを思いついたが、金具が壊れかけていたのか手をかけた途端に棚が外れ落ち、二番番頭は棚を肩で支える羽目になってしまった。

しばらくして、今度は一番番頭が起きだしてくる。やはり梯子が無いため同じ膳棚を足掛かりにしようとし、二番番頭と二人で棚を担ぐ羽目になってしまった。

またしばらくして、今度は手代が起きだしてくる。梯子が無いのを確認した彼は、天窓の紐を伝って二階へ上がっていくことを思いついたが、彼がぶら下がった途端に紐が切れ、手代は真下

にある井戸の中へ落ちてしまった。

三者三様で困っていると、騒ぎを聞きつけたおかみが灯りを持ってやってくる。困った二人の番頭は、棚を担いだままタヌキ寝入りをすることに…。

「あらあら、何をやっているの?」とおかみが問いかけると、「引っ越しの夢を見ておりました…」と答えるのでした。

演目の特徴

「口入屋」は上方落語の大ネタで、見どころ・聴きどころが多いです。口入屋で定吉が暴走する序盤や、女中の素性をおかみが質問する中盤、夜這いが失敗して立ったままいびきをかく羽目になる終盤など、様々な場面で笑いを誘います。

原話は、褌一丁で棚を担ぐ羽目となった2人組を見つけ、おかみが「薬屋の看板みたい」と嫌味を言うというもので、当時の薬屋の看板が薬の名を書いたものを裸の男が2人で担いでいるデザインだったことに由来しています。近年ではそのオチがわかりにくくなったため「引っ越しの夢を見ていた」と言い訳をする形に変わりました。

ちなみに、夜這いを見つかって変な言い訳をするパターンは『東海道中膝栗毛』等にも見られます。

エピソード

1940年(昭和15年)9月20日、警視庁は内容が卑俗的で低級であるとして、引っ越しの夢(口入屋)を含む53演目を上演禁止(禁演落語)としました。

以上、「口入屋」あるいは「引越の夢」のあらすじと特徴、エピソードをまとめました。この演目は、人間の欲望とその結果をユーモラスに描いた作品で、落語の醍醐味を堪能できます。

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