唐茄子屋政談(とうなすやせいだん)は落語の演目。人情噺の一つ。 別名は「唐茄子屋」。
上方では「南京屋政談」、「南京政談」、「なんきん政談」と呼ばれる。 東西では少し内容が違っている。
上、下の二部作に分かれるが、現在は上を演じることが多い。
「唐茄子」「南京」は、いずれもカボチャの異称である。
題名に「政談」とついている噺は、「鹿政談」「小間物屋政談」「佐々木政談」のように、奉行所の裁きの場面が出て来るが、この噺には入って
いない。正確に言うと政談ではないので、六代目三遊亭圓生は「唐茄子屋」の題を用いて、政談をつけなかった。しかし元は講釈の「大岡政談」で
あり、また別に与太郎を主人公にした「かぼちゃ屋」という噺もあってまぎらわしいので、多くは「政談」をつけている。
志ん生はこの噺が好きだったようで、数多く高座にかけている。音もたくさん残っているが、ほとんどがこの録音と同様、吉原田圃のところで切
っている。この切れ場が、志ん生ならではの名場面になっている。
志ん生もまれにはこの先までやった。 吉原田圃で売り声の稽古をしてから、誓願寺店(せいがんじだな)という貧乏長屋へ行く。ここで浪人の女房に唐茄子の売り上げを全部やってしまう。金を持たずに帰った徳三郎は、叔父の疑いを晴らすために、叔父を連れて誓願寺店へ戻ると、浪人の女房は家主に金を取られてしまい、首をくくっていた。あまりに因業な家主だと、奉行所へ訴える というのだが、ここまでやると一時間くらいかかってしまう。 吉原田圃のところに、志ん生の美学があったようである。
東京では3代目三遊亭金馬、5代目古今亭志ん生、6代目三遊亭圓生、3代目古今亭志ん朝、上方では4代目桂福團治が得意としている。
聴き比べ ⇒⇒ 志ん朝 唐茄子屋政談
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