まず元ネタから見たい人は、こちらを先にどうぞ。
タブレット純「ヌマブクロ第二中学校からの問題」を読む
学校の文章題って、ときどき「答え」より先に「いや設定どうなってる?」で止まることがある。
今回のそれは、かなり強い。
Writerzlabにあるタブレット純「ヌマブクロ第二中学校からの問題」は、笑いとしては成立している。むしろ強い。けれど、ちゃんと数字を追うと、問題文そのものがかなり雑だとわかる。しかもそこに、読者コメントがかなり鋭い角度で刺さっていた。
要するにこういう話だ。
タブレット純は「そんなに卵を割るな」と現実面からツッコんだ。
読者は「いや、そもそもこの問題、数字の置き方が変だろ」と計算面から刺した。
方向は違うのに、着地は同じだった。
この文章題、雑である。
元記事はこちら。まず読んでからだと、よりおもしろい
今回の話の元になっているのは、Writerzlabの記事だ。
タブレット純の語り口は独特で、文章題を普通に解くのではなく、「そんな事より気になるの~」という角度から現実の違和感を拾いにいく。ここがまずおもしろい。まだ読んでいないなら、先に元記事を見たほうが、この先の話が入ってきやすい。
まず、元の文章題を見てみる
記事内で紹介されていた問題は、ざっくりこういう内容だ。
シゲ子さんが、たまごを15,750円で仕入れた。
二割五分の利益を見込んで、たまご1個25円の定価で売る予定だった。
ところが、仕入れた卵のうち何個かが割れていたため、割れていない卵を全部売っても、利益が2,150円にしかならないことがわかった。
では、割れていない卵を全部売って、最初の予定通りの利益を上げるには、卵1個の定価を何円にする必要があるか。

ぱっと見ると、普通の算数だ。
でも、ここでタブレット純は模範解答ルートに行かない。
そうじゃなくて、こう言う。
そんな事より気になるの~♪ シゲ子さん。一体どんな運び方をしてそんなに卵を割ったのですか~。
さらに追撃する。
シゲ子さんは商売には向いてないので、地道にパート勤務でも探したら良いかと~。
これ、ただのボケに見えて、かなり本質を突いている。
文章題がスルーしている「現実の雑さ」を、笑いで拾ってしまっているからだ。
読者コメントが、そこに計算で殴り込んできた
そして元記事のコメント欄に、こんな計算が書き込まれていた。
15,750円×1.25=19,687.5円
15,750+2,150=17,900円
17,900÷25=716(割れてない卵)
19,687.5÷716=27.49
およそ28円ならば利益がほぼ同額。
これ、かなりまともだ。
というか、算数としてはだいぶ正しい。
順番に見る。
まず、仕入れ額は15,750円。
二割五分の利益を見込むなら、目標売上は15,750円の1.25倍だから、19,687.5円になる。
次に、割れていない卵を全部25円で売っても利益が2,150円にしかならないのなら、実際の売上はこうなる。
15,750円+2,150円=17,900円
これを1個25円で売ったのだから、売れた卵、つまり割れていなかった卵の数はこうなる。
17,900円÷25=716個
では、その716個で本来の目標売上19,687.5円を回収するには、1個いくらで売ればいいか。
19,687.5円÷716=約27.49円
つまり、整数円で売るなら少なくとも28円が必要になる。
ここまでは筋が通っている。
かなり通っている。
雑なのは読者ではなく、むしろ元の問題文のほうだ。
この文章題、どこが雑なのか
ここが本題だ。
この問題、答えに行く前に、すでに設定がグラついている。
1.最初の時点で、卵の総数が割り切れない
問題文では、「二割五分の利益を見込んで」「1個25円で売る予定」とある。
ということは、予定していた総売上は19,687.5円。
それを25円ずつで売る予定だったわけだから、最初に仕入れた卵の個数はこうなる。
19,687.5円÷25=787.5個
いや、0.5個て何。
ここで止まる。
卵は半個で仕入れない。
もちろん現実には、端数処理だのパック販売だの、逃げ道はいくらでもある。けれど、学校の文章題でそれを言い出したら終わりだ。こういう問題は、本来なら最初から整数で収まるように数字を置くべきだ。
つまりこの時点で、問題文はすでにちょっと雑なのである。
2.答えもスパッと決まらない
読者コメントどおり、必要な単価は約27.49円になる。
ここでまた微妙になる。
問題文は「何円にすることが必要ですか」と聞いている。
では、27.49円と答えるのか。
28円と答えるのか。
あるいは「少なくとも28円」と書くのか。
このへんが曖昧だ。
学校の文章題なら、本来はここもすっきり整数になるように作るのが普通だ。なのに、実際には中途半端な小数が出る。つまり、問題としての作り込みが甘い。
言い方を変えると、解く側に配慮せずに数字だけ置いた感がある。
こういうの、地味に萎える。
わかりみ深いどころか、普通に引っかかる。
タブレット純のツッコミは、ふざけているようで実は正しい
ここが面白いところだ。
タブレット純は、数字の誤差や整数条件を論じていない。そんなことはしていない。
でも、問題文の雑さにはちゃんと反応している。
「そんなに卵を割るな」
「その商売、大丈夫か」
「むしろパート探したほうがいい」
これ、全部ひどい。ひどいが、妙に正気だ。
文章題って、与えられた条件を無条件で受け入れる前提で作られている。
でも実際の読者は、そこまで素直ではない。というか、そこをスルーできない。
大量の卵を割る。
利益計画も崩れる。
しかも設定数字も割り切れない。
だったら、「何円に値上げすればいいですか」より先に、「この商売ほんとに大丈夫?」となる。
それは自然な反応だ。
つまりタブレット純のツッコミは、ネタとして面白いだけではない。
文章題が押し切ろうとしていた不自然さを、ちゃんと可視化している。
読者のコメントは、笑いを計算で補強した
そして読者コメントは、その違和感を数式で回収した。
ここが強い。
なんとなく「変だよね」で終わらせず、実際に式を立てて、どこまで成立するかを検証している。
その結果、必要価格は約27.49円、整数なら28円という、かなり妥当なラインを出してきた。
同時に、最初の仕入れ個数が787.5個になってしまうという、問題文の根本的な雑さまで浮かび上がった。
つまりこのコメント、ただの揚げ足取りではない。
ちゃんと問題そのものを解剖している。
それな、で終わる話ではなく、実際に精度が高い。
結局、どっちが正しいのか
ここは雑にまとめないほうがいい。
元記事は、もともとタブレット純のネタを味わう記事であって、数学の厳密解を出す記事ではない。だから、記事の目的そのものがズレているわけではない。
ただし、算数として見たときに、読者コメントのほうが筋が通っているのは事実だ。
結論はこうだ。
タブレット純のツッコミは、笑いとして正しい。
読者のコメントは、計算として正しい。
そして元の文章題は、問題として雑である。
この三段で整理するのがいちばん正確だ。
元記事とあわせて読むと、よりおもしろい
今回の考察は、単体でも読める。
ただ、やはり出発点であるタブレット純「ヌマブクロ第二中学校からの問題」を読んでおくと、タブレット純のツッコミの温度感と、コメント欄の鋭さがもっとよくわかる。
笑って終わるはずだった文章題が、読者の一撃で「検算される側」に回ってしまった。そこがこの件のいちばんおもしろいところだ。
まとめ
ヌマブクロ第二中学校の文章題は、ネタとしてはかなり面白い。
だが、算数の問題として見ると、かなり雑だ。
最初の条件から逆算すると、卵の総数が787.5個になってしまう。
さらに、必要な販売単価も27.49円という半端な数字になる。
つまり、最初から最後まで「きれいな文章題」としては仕上がっていない。
その意味で、読者のコメントは鋭かった。
タブレット純のツッコミが感覚で見抜いた違和感を、今度は数字で証明してしまったからだ。
笑いとして読んでも面白い。
算数として読むと、もっと面白い。
いや、正確には、算数として読むと雑さがバレて面白いというべきかもしれない。
こういう瞬間があるから、コメント欄は侮れない。
本文が投げたボールを、読者が別角度からホームランに変えてくることがある。
今回の「約28円ならば利益がほぼ同額」は、まさにそれだった。
元記事もあわせて読むならこちら。
タブレット純 歌ネタ・算数文章題!そんな事より気になるの~♪


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