日本史ミステリー 歴史上の人物で一番怖い女性は誰?
歴史を作ってきたのは常に男性、と思ったら大間違い!彼らの背後には、偉大なる女性の存在が!
雑誌「歴史街道」の読者アンケートに基づく「好きな歴史上の女性ランキング」
第3位 北条政子(源頼朝の妻)
頼朝亡きあと、朝廷軍に攻め込まれ、鎌倉幕府滅亡の危機に瀕した武士たちに、はっぱをかけた政子。
「頼朝の恩は山よりも高く、海よりも深い!」
「今こそ報いなさい!」
この演説が武士の結束を高め、朝廷軍を返り討ちにしました。
第2位 紫式部(源氏物語の作者)
同じ時代に活躍した「枕草子」の作者・清少納言の悪口をこう記しています。
「得意げに漢字を書いているようだけど、よく見ると間違っていて大したことはない」
「こんな人の将来には、いいことがあるとは思えない」
実は紫式部は、かなりの毒舌で嫉妬深い作家だったようです。
第1位 卑弥呼(邪馬台国の女王)
3世紀、弥生時代、30余りの小国が内戦状態にあった日本をまとめました。
歴史を変えた女性たちのミステリーを教えてくれるのは、東京大学教授・本郷和人先生。
秀吉の浮気に激怒した妻・おねがしかけた復讐劇とは?美人妻・細川ガラシャが、美しすぎるが故に起きた悲しい事件とは?名探偵コナンと謎解き!日本史ミステリー
歴史上一番怖い女性は誰?
北条政子が亀の前にした恐るべき仕返しとは?
源頼朝は征夷大将軍でトップですから、外に向けては敵なしですが、家にいるときは北条政子という奥さんに全く頭が上がらない、尻に敷かれていたのです。ところが、よりにもよって、妻の政子が妊娠しているときに、「亀の前」という女性と浮気します。それが政子にバレてしまい、政子は激怒してしまいます。
【問題】北条政子が、頼朝の浮気相手・亀の前にした恐るべき仕返しとは?
【答え】北条政子は、部下を使わせて亀の前の屋敷を壊してしまいました。
亀の前は、頼朝に泣きつきますが、頼朝は奥さんが怖くて何も言えません。それで、実際に屋敷を潰した下手人を連れて来て、ちょんまげを切ってしまいました。そういう八つ当たりしかできませんでした。
吾妻鏡(あずまかがみ)という、幕府の正式な歴史書に書いてあります。
徳川幕府二代将軍・秀忠が恐れた妻・江姫
徳川幕府二代将軍・秀忠は、父・家康の跡を継ぎ、260年以上続く江戸幕府の盤石の支配体制を確立したとされる人物です。その秀忠が、全く頭が上がらなかったのが、6歳年上の怖い妻、大河ドラマで上野樹里さんが演じていた江姫(ごうひめ)。江姫は、秀忠と結婚した時点でバツ2の子持ちだったにもかかわらず、ボンボンの秀忠を尻に敷いていたのです。
その秀忠が、一度だけ浮気をしてしまいました。そして、その浮気相手が男の子を産んでしまったのです。
「江姫に知られたら、この子は間違いなく殺される!」
秀忠は江姫を恐れるあまり、密かに部下の家に養子に出し、秀忠とその子は生涯会うことはありませんでした。
その後、秀忠と江姫の子・家光が三代目の将軍を、孫の家綱が四代目を襲名することになりますが、隠し子はその後どうなったでしょうか?
実は、隠し子は、保科家に養子に出されて、保科正之と名乗り、父の子と孫、二人の将軍に仕える重要な家臣となりました。
江戸の町を焼き尽くした「明暦の大火」のとき、江戸城の天守閣が焼け落ちてしまいました。
皆が「江戸城の天守閣を建て直そう」と言ったとき、正之は、「そんな金があるんだったら、江戸の街の復興を先にやろう」と言って、以来、江戸城には天守閣がないのです。
秀吉の妻・おねが実行した復讐とは?
続いての恐い女性は、豊臣秀吉の妻・おね。
秀吉がおねに宛てた手紙には、「便秘がひどいようなら下剤を使いなさい。どのくらい出たのか教えて欲しい」。
便秘がちなおねに気を配るなど、秀吉はかなりおねに気を使っていたようです。ところがその一方で、女好きの秀吉は、度々浮気をしていたのです。
「もう許せない!こうなったら!」
度重なる浮気にキレたおねは、秀吉に対して驚きの復讐を実行しました。それは、秀吉の上司にあたる織田信長に告げ口をしたのです。
その話を受けた信長がおね宛てに書いた手紙は、今も残っています。
「あなたほどの美人が、よその女にやきもちを妬いてはならぬ。どんと構えていなさい」
信長はそうフォローしたうえで、「この手紙をハゲネズミ(秀吉)に見せよ」とアドバイスしていました。
さすがの秀吉も、さぞかし青ざめたことでしょう。
「お前はとてもきれいだから」と、部下の妻をおだてているところから、信長はけっこうフェミニスト(女性に優しい男性)と言えるかもしれません。
秀吉のえらいところは、昔から苦労してきたおねを大事にしていたそうです。本郷先生の奥さんは、職場で先生の上司になるそうで、家でも敬語なんだとか。
愛妻家の細川忠興は、妻が好き過ぎて……
織田信長、豊臣秀吉、徳川家康と、三人の天下人に仕えた武将が、細川忠興。
その妻が、キリシタンとしても知られた美貌の持ち主・細川ガラシャです。忠興は、ガラシャのことをとても愛していた愛妻家でした。ある日、ガラシャが植木屋さんに話しかけたのですが、それを見ていた愛妻の忠興は、やきもちを妬いて、その植木屋をどうしたでしょうか?
……なんと、殺してしまいました。
ガラシャが好き過ぎた忠興は、他の男と話すことすら許せませんでした。
江戸時代のアイドル
上野・谷中にいた「笠森お仙」は、あまりにも清楚で可愛かったため、錦絵、今でいうポスターがたくさん売れました。
彼女の仕事はお茶屋の看板娘、今でいうウェイトレス。「笠森お仙」をモデルに描いた錦絵がきっかけで、店にお客が押し寄せました。現代の、握手会を開くアイドルのように、江戸時代にも、身近に会えるアイドルがいたのです。
しかもそのお茶屋が、今のポスターにあたる錦絵や、写真集にあたる絵草紙、手拭いや人形などの関連グッズまで販売、まさしく現代のアイドルのようです。
彼女は、地元の地主の男性と結婚し、幸せな一生を送りました。今で言えば、ITバブルの社長さんと結婚した玉の輿って感じです。当時のお茶屋では、お茶代が決まっていなかったので、自分の気持でお金を置いていきました。
江戸っ子は、おっちょこちょいで見栄っ張りなので、彼女の気を引くために、身の丈に合わない大金を置いてったようです。
(了)
[出典:2016年4月2日放送「世界一受けたい授業 男性VS女性スペシャル」]
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