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クレヨンしんちゃんの感動秘話 ~ 風間君とパパの巻

アニメ

更新履歴
初投稿:2023年2月1日
2026年05月12日(火):エピソード情報・事実関係を更新

ギャグ主体のアニメという印象が強い『クレヨンしんちゃん』だが、本作には感動的なエピソードも数多く存在する。なかでも第692話「思い出のパース旅行だゾ」(2010年1月29日放送)は、風間トオルとパパの父子関係を正面から描いた作品として語り継がれている。

風間くん、パパに会いにオーストラリアへ

しんのすけの親友・風間トオルは、塾に通う5歳のエリート幼稚園児だ。パパが海外に単身赴任しているため、普段はママ(みね子)と二人暮らしを送っている。

あるとき、風間くんはママとともにパパの赴任先であるオーストラリア・パースへ向かう。パパと再会したら一緒にサッカーをするのだと、サッカーボールを手荷物に飛行機へ乗り込んだ。現地で久しぶりの父子の対面が実現し、「会いたかったよ」とパパに抱き上げられる風間くん。だが勘の鋭い彼は、どこかよその視線を感じていた。

誰かに見られてる?

パパの住む社宅は広大で、周囲には公園と湖が広がる快適な環境だった。近隣にあるのは観光ホテルのみ。そのホテルに野原一家が宿泊していた。懸賞でパース旅行が当たり、しんのすけ一家もこの地にやってきていたのだ。

パパの家を外から眺めるしんのすけたちに気づいた風間くんは、「誰かに見られてる気がして」とカーテンを閉める。予感は当たっていた。

レストランで

その夜、風間一家はパパ行きつけのシーフードレストランへ。流暢な英語で店員と話すパパを見て、風間くんは誇らしさを感じる。一方の野原一家は言葉が通じず右往左往していた。そこへ風間くんが気づく。「どうしてここにいるの?」

パパが「良かったら一緒にどうです?」と誘い、断るひろしに風間ママが「うちの主人は賑やかなのが好きなので」と一言添えた。こうして二家族の夕食が始まる。しんのすけに「あのおじさんがしつこく誘うからごめんね」と謝られた風間くんは、「ぼくのパパだよ」とあきれ返った。みさえの制止も虚しく、食卓はしんのすけの存在で騒然となる。パパとゆっくり話したかった風間くんにとって、穏やかならざる夜だった。

この人たちさえいなければ

翌日、パパに連れられて神秘的な砂岩の岩を見にきた風間くん。5歳ながら大地のエネルギーを静かに受け止めている。野原一家の他愛ない会話が聞こえてくるたびに「この人たちさえいなければ」と唇を噛む。

サンドボードで砂山を滑る場面では、後ろ向きに乗ったしんのすけが転倒。笑った風間くんも勢い余ってずり落ち、はずみでしんのすけと顔を近づけるはめになった。喜ぶしんのすけをよそに、風間くんは一人静かに落ち込んだ。

パパとサッカーをやりたい

海岸でイルカや地元のペリカンと意気投合するしんのすけを「ついていけん」と眺める風間くん。「そうだ、サッカーだ」と思い出し、野原夫婦と話し込むパパに近づいた。「パパ!あのさ……」。しかしパパは気づかない。

砂浜にひとりしゃがんで泣いている風間くんを見つけたしんのすけは、声をかけようと近づいた。「パパのバカ……せっかく久しぶりに会えたから、サッカーやりたかったのに……」。その言葉を耳にした瞬間、しんのすけはそっと踵を返した。

トオル、サッカーやろ!!

トイレから出てきたパパにしんのすけが駆け寄る。「おじさん、みんなでサッカーやろ! オラ、おしっこしてから行くので、先にトオルくんとやっててください」

「トオル、サッカーやろ!!」

パパの声に風間くんが顔を上げる。「うん!!」と飛び上がるように答えた。

父子がボールを蹴り合うのを見ていたひろしが「オレも入れてもらおっと」と近づく。「父ちゃんはいいの!!」。しんのすけに体ごと押し返された。夕陽を受けて長く伸びる風間父子の影だけが砂浜に残った。

「思い出のパース旅行だゾ」は、TVアニメ版傑作選第9期シリーズ11巻にも収録されている。しんのすけのさりげない機転が光るエピソードとして、現在も根強いファンを持つ一作だ。

文責:ライターズラボ編集部(2026年05月12日(火)10:31執筆)

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