「食べる喜び」を再発見する松重豊の珠玉のエッセイ集『たべるノヲト。』
人気ドラマ「孤独のグルメ」の主演俳優が綴る、食と記憶の物語
「記憶に残る料理には、その時代、その瞬間のドラマ、自分の人生そのものが詰まっている」
名バイプレーヤーとして映画やドラマで活躍し、「孤独のグルメ」の井之頭五郎役で食への造詣の深さを見せる俳優・松重豊さん。その松重さんが、食にまつわる思い出や発見を綴ったエッセイ集『たべるノヲト。』が遂に単行本化され、多くの読者の胃袋と心を刺激しています。
雑誌「クロワッサン」の人気連載が待望の書籍化。極貧時代を支えてくれた思い出の味から、撮影現場で出会った逸品、四季折々の好物、食べ物への素朴な疑問や秘密の食べ方まで、松重さん独自の視点で綴られた珠玉のエッセイ集です。本書に収録された「食の記憶」は50品以上!
目次はお品書き仕様!その日の気分でピンときた順に召し上がれ
本書の目次は「お品書き」の形式を採用。おつまみから甘味まで、充実のラインナップであなたの食欲と好奇心を刺激します。「その日の気分に合わせ、ピンときた順番に召し上がれ」という松重さんの言葉通り、気軽に読み始められるのも魅力です。
松重豊×あべみちこのコラボレーション
イラストは松重さんと親交の深い、旭川在住の作家・あべみちこさんが担当。温かく優しいタッチのイラストが松重さんの文章に彩りを添え、読者の「食べ物の楽しい記憶」をも呼び起こします。巻末には松重さんとあべさんの制作舞台裏がわかる特別対談も収録されています。
著者からのメッセージ
晴れて書籍化。
まぁ特別な内容のエッセイではない、
「たべもの」について書かれた「ノヲト」つまり走り書きみたいなものだ。
昭和の思い出満載だが、わからないことがあったらおばあちゃんに聞くか、
ネットで調べればなんでも教えてくれるはず。
また、この単行本を手に取っていただいた大切なお客様だけの為に、
本編を読み終わった後に、僕の朝のルーティンについてお話しする
特別付録をおつけしましょう。
では、皆様ご唱和を。
「いただきます」
読者の声
「読む最高のグルメとして、未知の食べ物について面白く読んだり、心の底から温まる良質な食のお話」
「寝る前に読むべからず。ページを捲る度に、食欲がくすぐられ、冷蔵庫を開けてしまいそうになってしまう。一話の行数も絶妙、松重さんの人柄が滲み出た本。」
「同世代ゆえ食べ物の記憶がシンクロし、井之頭五郎さんの脳内つぶやき以上に共感。また、松重さんの文章が実に上手い。」
Amazonレビューより
読めば見えてくる、著者の新たな魅力
本書を読むと、松重豊さんの文章力の高さに驚かされます。「孤独のグルメ」の五郎さんとしてではなく、一人の食を愛する人間としての松重さんの姿がそこにあります。淡々とした語り口ながら、思考の流れや率直なコメントが読者の笑いを誘い、時に懐かしさを呼び起こします。
「ウナギの大群にもみくちゃにされながら殺される男というのを演じたことがある」で始まるうな重のエピソードや、京都での撮影中に「スターではなく、その腰巾着にもなれない僕」が見つけた白飯が進むサバ煮を出すおばちゃんの店の思い出など、俳優としての日常の中に光る「食」の記憶が読者を魅了します。
松重さんの手にかかれば、素朴な家庭のコロッケが名バイプレーヤーに変わり、うずらの卵を求めて町中華に行かずにはいられなくなる——そんな「食べることが楽しみになる」魔法のようなエッセイ集です。
特典情報
特製ステッカー付き特別版も販売中!(数量限定)
また、松重さんの公式YouTubeチャンネルでは、本書の朗読「しゃべるノヲト。」も公開中!文字だけでなく、著者の声でも楽しめる一冊です。
書籍情報
- 書名:たべるノヲト。
- 著者:松重豊
- 発売日:2024年10月10日(木)
- 価格:1,760円(税込)
- 仕様:四六判・224ページ
- ISBN:978-4-8387-3292-0
- 発行:株式会社マガジンハウス
著者プロフィール
まつしげ・ゆたか●俳優。1963年生まれ、福岡県出身。蜷川スタジオを経て、映画・舞台・ドラマで幅広く活躍。FMヨコハマ『深夜の音楽食堂』のパーソナリティを務めるほか、現在テレビ東京開局60周年連続ドラマ「それぞれの孤独のグルメ」が放送中。また、主演・監督・脚本を務める『劇映画 孤独のグルメ』が2025年1月10日に全国公開。
「松重豊は食べるだけではなく、書くのも上手い」
この一冊を手に取れば、あなたも思わず「腹が減った…」とつぶやいてしまうこと間違いなし。食と記憶が織りなす温かな物語をぜひご堪能ください。
物書き松重豊、誕生!
軽妙洒脱な筆致で描かれる演者の心象風景。
連作短編小説12編+エッセイ25編を収録。
『孤独のグルメ』『ヒキタさん! ご懐妊ですよ』『きょうの猫村さん』などさまざまな映画、ドラマで注目を集める著者の初の書籍。書き下ろし連作短編小説「|愚者譫言《ぐしゃのうわごと》」と週刊誌「サンデー毎日」の連載エッセイ「|演者戯言《えんじゃのざれごと》」の2種を収録。
演者だからこそ描くことができた心象風景を、独自の軽妙洒脱な筆致で表現。「サンデー毎日」連載時から人気を呼んだ旭川在住のイラストレーターあべみちこによるイラストが彩りを添える。
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「あ、そや、空っぽとな、無、ちゅうのは違うもんなんやで」
そう言って老人は烏丸御池のバス停で降りて行った。
二つの言葉がぐるぐる回る。
あの日からか、自分の仕事が分からなくなった。
(『愚者譫言』プロローグ 「バスの中」より)
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目次
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愚者譫言
バスの中 「プロローグ」
取調室 「第一話」
ガベル 「第二話」
酒場 「第三話」
伴走 「第四話」
土の中 「第五話」
かさぶた 「第六話」
オペ室 「第七話」
仇討ち 「第八話」
日当 「第九話」
独房 「最終話」
鯖煮 「エピローグ」
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演者戯言
設定を変えてしまうほど自白に影響を与える食べ物の存在
昨日ニンニクさんざ食った奴の臨終に立ち会う気分は如何
脳に詰まった起訴状がカレーに追い出され睡魔が襲う午後
異国で異教徒になった日の寿司と浴槽その冷たさについて
沈黙するポテチ片手の羊たちその記念写真が手許に無い件
背が伸びる秘訣をと問われたらとりあえず牛乳と答えるよ
坊主頭の中学生はレゲエとパンクの間で揺れ動くのだった
覚えられないのは茗荷の所為なのよと可愛い文字で書いた
オムレツもエッグベネディクトも便座にしゃがんだあとで
神に見守られた美しい雪隠で考えるのは今宵の夕飯の献立
定食屋の奥に並ぶ宇宙人の眼差しにライス大盛りを完食す
東京特許許可局なんて実際には存在しないものじゃぞ隆景
けして孤独ではないチーム孤独は彼の下で円陣を組むのだ
餃子耳にはなりたくない相撲好きの柔道家の下手な素振り
大晦日紅白の真裏で独り年越す方々と共に食さんと欲する
鬘をとって風呂上がり万願寺唐辛子の甘さを教わった夜に
最初はグーだが皮膚はカタカナよりも漢字を求めたのだった
言っとくけど演者はドットで出来てるわけじゃ無いからね
アンドロイドは博多やわやわうどんの夢を見ていたか否か
折角結婚祝にすき焼き鍋を贈ったんだから別れないでくれ
待ち時間にはカメラに向かって無意味な下ネタを連呼する
師曰く汝が隣人即ち友と限らず写真は撮られる側と限らず
組事務所で咄嗟に噓をつく心のブレに補正は可能だろうか
根気良く注射を打ち続け魔の手から逃れる方法を信じるか
星空にたき火を囲んで人生を語る場を僕が作ってあげよう
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