★春風亭柳好(三代目)電車風景

春風亭柳好(三代目)

「キップの無い方は切符を切らせて貰います」
「切らすことは出来ないよ。キップが無いんだから」
「では、買っていただきます」
「タダかと思ったよ。買うんだったら、いくらだい」
「片道7銭で、往復14銭です」
「新しくなくても良いんだ。古いキップは無いかね」
「新しくても古くても同じです」
「座っているが、立つから安くならないかね」
「同じです。乗り継ぎがあれば、ハサミの入れ方が違います。どちらまで」
「おらのキップに穴開けたな」、「これは三ノ輪行きですから千住に行くには乗り換えです。乗り換えキップに穴を開けました」
「乗り換えはイヤだから降りるよ」
「降りるんだったら、キップを貰います」
「田舎者だからとバカにして……。買ったものを取り上げるなんて」

今度は酔っぱらいが乗ってきた。
「田舎者をいじめるな」
「私がいじめられているんです」
「何だと、この蟹野郎」
「何ですか?蟹野郎というのは」
「ハサミを持って、横に歩いているだろう」
「スイマセンね。蟹野郎で」
「顔を赤くして口からあぶく飛ばしているよ。怒ったね。帽子取って謝るよ。あいスイマセン」
「良いんですよ」
「帽子を取って謝っているのに、帽子を被ったままで、偉いね」
「取れば良いんですね」
「だからといって、ポイと取ることは無いじゃないか」
「では、被らして貰います」
「ケンカ売るのか。だからといって被ることは無いだろう」

「もしもし、起きて下さい。終点です」
「おォ~、蟹」

「蟹ではありません。車庫(シャコ)です」
「蝦蛄(シャコ)だったら、もう一杯くんね~」。

コメント

タイトルとURLをコピーしました