★柳亭痴楽(四代目)ラブレター(女給の文)

柳亭痴楽(四代目)

あらすじ

若い女性の良いところと損なところがあります。
男なら、朝、少しぐらいの寝坊をしても、つばき(唾)油で飛んで出られるが、女性はそんな事は出来ない。

鏡の前で顔を何回も叩いて、仕上がるまでに時間が掛かる。時には「お母さんこの鏡変よ」などと、自分の顔を棚に上げて、鏡のせいにしている。女性の損なところですが、女性でなくては ならない、良いところもあります。

女性の美点は声です。
映画など鑑賞して幕間に入るアナウンスは女性でなくてはなりません。

「お呼び出しを申し上げます。お客様の藤田様、 正面玄関までお越し下さいませ。」等と聞くと、藤田さんがどんなに素敵な人なのだろうと、かってに連想してしまいます。

その反対に、ガラガラ声の男性がやると、「豊川稲荷の藤田さん、豊川稲荷の藤田さん、表で狐が待ってます」と、やられると具合が良くありません。

マーちゃんは彼女が出来てラブレターを貰ったと友人に打ち明けた。ただし、夜学で習ったので昼では読みにくく、見せたくない。
と言いつつ、友人に渡すと。

友人 「ピンクの便箋にいい匂いがするよ。で、英語じゃないよね、これ。『かれいに、もも引きあげますよ』」

マーちゃん「だから見せたくないんだよ。『彼氏に申し上げますよ。』っていうんだよ」

「『こなだこなだ』。粉でもあげたのか。」

「それは『こないだは、こないだはね』の”い”が抜けているんだ」

「『へそかゆくて』」

「それは『忙しくて』って読むんだ。ヘソがかゆい事なんかないだろ」

「『ろくまくをおかし、八銭ですみました』。あれ、肋膜を患って八銭で済んだようだよ。安かったね」

「八銭で済む分けないだろ。『ろくろくお構いしなくてスイマセンでした。』って、言うんだよ」

「『そのときはながたけさんくだりて』。タケさんがお腹を下したのか」

「『その時バナナ沢山くださりて』。しっかり読め」

「『苦しかったわよ』。やっぱり下っていたんだよ」

「それは『嬉しかったわよ』だ」

「『すぐにわかやまにもちかえり』。遠くまで持って行ったんだな」

「『直ぐに我が家に持ち帰り』」

「『仏壇へそなめた』?」

「それは『仏壇に供えたわ』って言うんだ。自分で臍舐められないだろう」

「『こんどきたとき、ミシンがないが、したてるわ』。ミシンが無いけれど何か仕立ててくれるぞ」

「『今度来た時、しみじみ話がしたいわ』」

「『こんどのひよびに、てにてをつないであべこべいくよ』??あべこべで、どうするんだ」

「『今度の日曜日、手に手を取って、アベックで行こうよ』ってんだ」

「『あなたははたけのたにしだわ』」

「『貴男は私の彼氏だわ』。この文章で一番良い所じゃないか」

「泣くなよ。『愛しきまーちゃんへ私はほんとは、あら、いやよ』。やっぱりヤダと言っているよ」

「(泣き声になって)最後まで間違えている、私の彼女は『”新井ヤヨ”さん』って言うんだ」。

 

 

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