★立川志の輔/お血脈(おけちみゃく)

立川志の輔


お血脈(おけちみゃく)は古典落語の演目の一つ。
会話劇の形態をとる落語の中にあって、セリフがほとんどなく、演者の地の語りを中心に進めるタイプの噺を『地噺』と言うが、これはその代表格。
かつては10代目桂文治が得意とし、現在は6代目三遊亭円楽が十八番としている。
なお背景描写や時代背景、くすぐりは地獄八景亡者戯に似ている。
本編自体が比較的短い噺ということもあり、大抵の演者は本筋に入る前に、舞台となる信濃国は善光寺の縁起を入れて、一席の噺としている。大筋は一般に流布している善光寺縁起を踏んでいるが、落語であるから、本当かどうかわからない誇張だらけになる。
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あらすじ

善光寺に【お血脈】と言う名のハンコがあった。これは一種の免罪符で、浄財百疋(一疋=二十五文)を払って額にスタンプしてもらうと、どんな罪を犯していても極楽往生ができるという大した代物。
「極楽行き大安売り」のお血脈が大流行したおかげで、世の亡者は猫も杓子も極楽へ行ってしまう。地獄は開店休業状態、鬼どもが喰うに困って往生しそうな不景気に、頭を抱えた閻魔大王は緊急会議を招集した。
そこで見目嗅鼻(みるめかぐはな)なる知恵者の鬼が、【お血脈】の件をご注進する。
「こいつを盗んでしまえば、地獄にまたお客が来るでしょう」
閻魔大王、すっかりその気になってしまい、【お血脈】奪取の為の人材集めを開始した。幸い、ここは地獄であるから泥棒の人材ならごまんと所属している。あれは駄目、これは駄目と協議した結果、白羽の矢が立ったのがかの有名な大盗賊・石川五右衛門。
生前、豊臣秀吉の生首欲しさに伏見城へ忍び入り、鴬張り(千鳥の香炉とも)のお陰で捕縛された五右衛門は、その最期を終えた油の煮立った釜で、地獄に来てからも汗を流しつつ「石川や~」とかなんとか唸っている。
大王の使いが事の次第を伝えると、五右衛門先生風呂から上がり、張り切って黒の三枚小袖、朱鞘の大小、素網を着て、重ね草鞋(わらじ) 、月代(さかやき)を森のごとくに生やし、六方を踏みながら大王のもとに乗り込んできた。
話を聴き、『見事盗んで見せましょう』と請け負った五右衛門、娑婆に出てくると早速闇夜に乗じて善光寺に浸入。宝物殿に入って【お血脈】の捜索を開始した。ところが探しても探しても見つからない、とうとう諦めて帰ろうとすると、頭上の棚になにやら小さな箱がある。開けてみるとまた箱、開けてみるとまた……と言うマトリョーシカみたいな箱を開け、中身を見るとまごう事なき【お血脈】。
そのまま盗んで消えればよかったものの、元々芝居好きだった五右衛門先生、有職鎌倉山の泥棒権平のノリで――
「アァありがてえ、かっちけねえ。まんまと善光寺の奥殿へ忍び込み、奪い取ったるお血脈の印。これせえあれば大願成就、アァありがたや、かっちけなやァァ!」
と押し頂いたもんだから、自分が極楽へ、スーッ……

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