トラの耳に裏にある白黒模様が子どもにやさしい理由とは?
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トラと言えば、黄色と黒の縞模様が「トラ柄」と言われたりします。
大きいもので、3メートル近くまで成長するネコ科最大の動物です。
狩りの時に茂みに身を隠せるように、このような模様になったと言われています。
トラの耳のうしろの模様は、体とは異なる模様になっています。
それが、黒地に白い斑点の模様です。
これは、「虎耳状斑(こじじょうはん)」と呼ばれる、やさしい模様なのです。
この模様は、生まれて間もない子どものために「あるやさしさ」を発揮します。
トラの耳の裏にある白黒模様が子どもにやさしい理由とは?
教えてくれたのは、帝京科学大学の並木美佐子教授。
いくらトラといえども、生まれたばかりの子どもはか弱い存在です。
天敵に襲われないためには、いつも親と一緒にいなければなりません。
黄色と黒の縞模様は、身を隠すのには便利ですが、子どもたちまで親を見失ってしまう危険性があります。
そこで、子どもたちが頼りにするのが、後ろからでも見える黒地に白の模様なのです。
体の一番高いところにある耳は、茂みでも隠れづらく、さらに白色は夜になっても目立ちます。
この模様は、親と一緒にいるという安心感を与えるやさしい目印なのです。
この模様は、トラに限らず、ネコ科の野生動物たちには必ずあります。
しかし、ペットとして飼われている猫には模様がありません。
ペットになっていく間に、人間に守られている猫は、白い模様がなくなる進化を遂げたと言われています。
新潟市の横断歩道やバス停に、冬の間、設置されるやさしいモノとは?
新潟県新潟市。
この街の横断歩道には、「とっても暖かい気持ちになる、あるやさしいもの」が、冬の間だけ設置されます。
それは、横断歩道だけでなく、バス停にも。
このやさしいものによって、新潟市の人たちはとっても過ごしやすくなります。
新潟市の横断歩道やバス停に、冬の間、設置されるやさしいモノとは?
教えてくれたのは、新潟市社会福祉協議会の五十嵐杉之さん。
多くの雪が降る新潟県。
積もると、自宅前で雪かきをする光景がよく見かけられます。
しかし、公共の場である横断歩道やバス停に積もったら、通行の妨げになり、困ってしまいます。
そこで使われているのが、信号機に取り付けられているスコップ。
そこには、「思いやりのひとかき運動、バスの乗降口・横断歩道取付部分の除雪に御協力お願いします」と書かれています。
このスコップを置くことで、新潟市の人たちは、信号やバスを待っている間に自主的に雪かきを始めます。
体を動かすことで、待つ間の寒さもしのげるという、身も心も温まるやさしいスコップなのです。
この取り組みが始まったのは、今から約30年前。
新潟の街に最初にスコップを置いたのは、新潟市の会社員の男性。
「横断歩道にスコップがあれば、過ごしやすい街になる」と考えた男性は、新潟市の国道沿いに、自腹で購入したスコップを夜中にこっそり置いたそうです。
やがて、そのやさしさに動かされた地域の商店街や自治会などが協力。
現在、この取り組みは、新潟市内の389ヶ所で実施。
さらには、富山県、福井県などでも行なわれています。
一人のやさしさから生まれたスコップは、日本中に広まりつつあります。
多くのタクシーがフェンダーミラーを採用するやさしい理由とは?
日本全国に24万台以上、街中のいたるところで目にする「タクシー」。
年間利用者は、のべ16億人を超える、私たちにとって身近な交通機関です。
さて、タクシーと一般自動車の「ある部分の違い」をご存じでしたか?
ドアミラーが一般的な現代車ですが、タクシーは、昔の車に多かった、ボンネットの前方につけられたフェンダーミラーを採用しています。
タクシーの乗客に、「不快な思いをさせたくない」という、配慮からなのですが……
多くのタクシーがフェンダーミラーを採用するやさしい理由とは?
教えてくれたのは、飛鳥交通第5の村田祐也さん。
サイドミラーが、ドアについていたら、運転手がミラーを確認するとき、首を左右に大きく振らなければなりません。
このとき、後部座席の乗客から見ると、運転手が周囲をキョロキョロしているように見えます。
その姿が、運転に自信がなさそうに見え、乗客は少し不安を感じてしまいます。
しかし、前方についているフェンダーミラーなら、前を向いた状態でもミラーが確認できます。
首を大きく振る必要がないので、乗客は不安に思いません。
また、ドアミラーの場合、助手席のお客様が大きな荷物を持っていると、左のミラーが隠れてしまいます。
お客様に「ジャマ」とは言えません。
フェンダーミラーなら、大きな荷物でも隠れる心配はないのです。
ボールペンのキャップに小さな穴があいているやさしい理由とは?
机の中のやさしいもの、それは「ボールペン」。
ボールペンは、約130年前にアメリカで考案されました。
戦後、進駐軍によって日本に広まったと言われています。
昔からあるキャップ付きのボールペンのキャップには、ほとんど、小さな穴が開いています。
これには、子どもたちことを考えた「あるやさしい理由」があるのです。
ボールペンのキャップに小さな穴があいているやさしい理由とは?
教えてくれたのは、日本文具新聞社の森井賢二社長。
子どもはいつも、好奇心旺盛で、気になったものは手に取り、口に運ぶこともよくあります。
中でも、キャップなどの小さいものは、誤って飲み込む危険性があり、のどに詰まって窒息する可能性も。
実は、1990年頃、欧米では、キャップの誤飲事故が多発していました。
欧米では、キャップを噛む大人が当時、大勢いました。
それを子どもが真似してしまい、キャップを誤って飲み込む事故が頻発。
さらに当時のキャップには穴が開いていなかったため、窒息することも多かったのです。
日本で起きることを未然に防ぐために、キャップに穴があけられました。
万が一飲み込んでも、穴によって空気が流れるので窒息を防げます。
今では、ボールペンの他にも、マジックや鉛筆のキャップなど、様々なキャップに穴があけられています。
壊れて直せないAIBOの飼い主へのやさしい対応とは?
”ニッポンこの人やさしい”
今回のやさしい人は、茨城県にお住いの株式会社ア・ファンの船橋 浩さん。
船橋さんは、壊れてしまった家電や電子機器を修理する元ソニーのエンジニア。
彼の元には、「あるもの」の修理依頼が、全国から殺到しています。
それは、「AIBO(アイボ)」。
今から17年前、ソニーからペットロボットとして発売された、人工知能を備えたロボットです。
本物の犬のように、愛くるしい動きが人気を呼び、累計15万台販売され大ヒットに。
しかし、時代と共にメーカーの方針が変わり、発売から7年後の2006年に生産終了……
さらに、2014年には、メーカーサポートも終了し、全国で動かないAIBOが続出することに。
船橋さんは、元ソニーのエンジニアだった経験を活かし、動かないAIBOの修理を請け負うことにしたのです。
しかし、どうしても直せないAIBOもあるそうです。
そこで船橋さんは、飼い主のために、あるやさしいことを思いつきます。
壊れて直せないAIBOの飼い主へのやさしい対応とは?
2015年1月、千葉県光福寺に、船橋さんの姿がありました。
直せなかったAIBOのために、「お葬式」を開いたのでした。
ロボットとして作られたAIBOですが、飼い主にとっては、長年一緒に暮らした家族同然。
「飼い主のためにも、せめて供養だけはしてあげたい」
そんな船橋さんの思いに、お寺の住職さんも賛同し、無償で協力してくれたのです。
もう作られることのない貴重な部品は、回復の見込みのあるAIBOを直すために使われます。
船橋さんの元には、全国から感謝の手紙が届いています。
[出典:2016年2月2日放送「優しい人なら解けるクイズ」]
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