柳家花緑/おさよ

柳家花緑

柳家花緑 独演会@赤城正観荘 2023.06.24

村娘ジゼルと貴族の青年アルブレヒトの悲恋を描いたロマンティック・バレエの名作『ジゼル』。この物語を江戸時代に置き換えた柳家花緑の創作落語が、東京シティ・バレエ団による踊りとコラボレーションした。作品はバレエと同じく2幕構成で、ジゼルは「おさよ」、アルブレヒトは「新三郎」、ヒラリオンは「半ちゃん」。

まずは落語で物語を楽しみ、続いてその場面の踊りを鑑賞するという形の進行が、落語ファンなどバレエを見慣れない観客にとっては優れた「バレエ入門」ともなった。花緑の話芸が特に光ったのは、バレエでいうところの精霊ウィリたちとその女王ミルタの表現。

森に迷い込んだ男たちを踊り殺す死の精霊たちが、落語では気風のいい姉御に率いられた愛すべき「お化けたち」に。それぞれが命を落とした理由を語る場面などは、各キャラクターの個性が際立ち、抱腹絶倒の盛り上がりを見せた。そしてラストシーン。天から差す一筋の光、そのシンプルな照明一つでジゼルの魂が消えていく様を表現し、ほろりとさせた。

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