★古今亭今輔(五代目)薮入り

古今亭今輔 (五代目)

『藪入り』(やぶいり)は古典落語の演目のひとつ。もとは「お釜さま」という、衆道をテーマにした噺を、初代柳家小せんが改作して『鼠の懸賞』にしたものを、三遊亭金馬 (3代目)がさらに改作したもの。

あらすじ

住み込みで奉公をする子供が一日だけ親元へ帰ることが許される藪入りの日。
門前で立派に挨拶をする様子を見て、我が子の成長ぶりに両親は感涙する。
そして今日のために考えていた我が子へのもてなしとして、お祭りへ連れて行ったり、好物を食べさせたりすることを考えるが、その前にまずは湯屋へ汗を流しに行かせると、子供が紙入れを忘れている。
その妙な膨らみに違和感を覚え、母親が中を見ると、紙入れの中には15両もの大金が入っていた。
奉公先の小遣いだと考えるのにはあまりにも高額なため、二人は亀吉が何か悪事に手を染めたのではという疑念を抱き、とりあえず我が子の帰りを落ち着いて待とうということになるが、待つ時間が苛立ちを募らせ、喧嘩っ早い職人肌の父親は帰ってきた亀吉を有無を言わさず殴り飛ばして、なんで悪事になんか手を染めたんだと泣きながら問いただすと、亀吉はその15両は悪事で手にした金ではないと答える。
憤る父を制止し、母親がじゃあどうやって手にした金なのかと聞くと、なんでも巷で流行るペストの予防のためにお役所が子供にねずみ取りをさせ、その鼠の懸賞で手にした金で、今日の藪入りのために預かっていた番頭さんから返してもらってきたところなのだと言う。
我が子が悪事に走ってなかったことを知ると共に、我が子の強運を褒め讃え、父親は「これもご主人への忠(チュウ)のおかげなんだ」と言うのであった。

補足

この噺は典型的な人情噺であり、あらすじでは触れなかったが、藪入りの前日、我が子の帰りを待ちきれない父親が「あいつの好きな鰻を……あぁ、あとお汁粉……あぁそれから……」とどう考えても一日で子供が食える量じゃないほどの飯をこしらえようと妻に提案するなどの、子以上に藪入りの日を楽しみにする両親の親心を描くくだりも、この噺の特徴である。

コメント

タイトルとURLをコピーしました