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2026年10月15日(木):非公開原稿を新規作成。
敷居が高いと感じる理由を分ける
「あの店は敷居が高い」と聞いたとき、どんな店を思い浮かべますか。値段が高い店、格式のある店、あるいは、以前迷惑をかけてしまった店。同じ言い方でも、入りにくい理由は違います。
従来「敷居が高い」は、相手に不義理をしたり、面目のないことがあったりして、その人の家などへ行きにくいことを表してきました。一方、高級さや難しさのために近づきにくい、という使い方も広がっています。この記事では、古くからの意味、調査で確認できる使われ方、文章での言い換えを分けて説明します。
本来の意味は、相手への負い目で行きにくいこと
文化庁国語課監修の「『敷居が高い店』ってどんな店?」(ぎょうせい、2021年5月13日)は、不義理や面目の立たないことがあるため、その人の家へ行きにくいという意味を説明しています。ここでいう不義理には、お世話になった相手への連絡を長く怠ったような事情も含まれます。
例えば、「借りた道具を壊したまま謝っていないので、あの人の家は敷居が高い」。これは相手の家が豪華だから入りにくいのではありません。会ったときに説明すべきことが残っているため、足が向かないという意味です。この例文はこの記事用に作ったものです。
「敷居」は、出入口に敷く横木を指す言葉です。慣用句で高くなるのは、家に入るときの心理的な抵抗です。家の設備を実際に測って、高低を判断しているわけではありません。
「高級すぎて入りにくい」という意味も広がっている
文化庁の令和元年度「国語に関する世論調査」の結果のポイントでは、「敷居が高い」の意味を尋ねた結果が紹介されています。二つの選択肢の回答割合は次のとおりです。
| 意味の選択肢 | 回答割合 |
|---|---|
| 相手に不義理などをしてしまい、行きにくい | 29.0% |
| 高級過ぎたり、上品過ぎたりして、入りにくい | 56.4% |
これは令和元年度の調査結果です。現在の日本人全体の割合を、この記事が新たに調べた数字ではありません。また、この割合だけで、特定の場面に適した言い方が決まるわけでもありません。言葉がどう理解されているかを知るための資料です。
同記事が並べて紹介する辞典でも扱いが異なります。『大辞林 第4版』は、高級さなどから入りにくいという使い方に、本来の意味とは異なる旨の注記を付けています。『明鏡国語辞典 第3版』は、程度や難度が高いという転用を別の意味として掲載しています。これは同記事を介して確認した各版の記述で、現在販売中の全辞典が一致しているという意味ではありません。
古くからの意味を説明することと、新しい意味の使用実態を認めることは両立します。「高級店には使えない」と一律に決めると、使われ方の広がりや、辞典の記述の違いを見落とします。
値段、格式、難しさは具体的に言い換えられる
会話では、前後の話から理由が分かることもあります。文章や案内文では、その理由を先に書くと、二つの意味の取り違えを減らせます。次は編集部で作った言い換え例です。
- 値段が理由なら、「予算を超えるので、気軽には入れない店」。
- 格式が理由なら、「服装や振る舞いに気を遣う店」。
- 技能が理由なら、「初心者には難しいコース」。
- 相手への負い目が理由なら、「連絡を長く怠っていたので、訪ねにくい」。
「ハードルが高い」は、取り組むための障害が大きいことを表す言い換えとして使えます。ただし、それだけでは値段、技能、手続きのどれが障害なのかは分かりません。初めて読む人に向けた案内では、理由まで示した方が判断しやすくなります。
「敷居が高い」を見掛けたときは、誰が、どこへ、なぜ行きにくいのかを確かめましょう。書く側もその理由を添えれば、古くからの意味で使う場合も、広がった意味で使う場合も、伝えたい内容が明確になります。
参照した資料
文化庁国語課監修「『敷居が高い店』ってどんな店?」(ぎょうせい、2021年5月13日)。従来の意味、令和元年度調査の割合、同記事に掲載された『大辞林 第4版』『明鏡国語辞典 第3版』の扱いを参照しました。
文化庁「令和元年度『国語に関する世論調査』の結果のポイント」(文化審議会国語分科会、2020年10月30日参考資料1)。調査の実施期間は2020年2月27日~3月15日、有効回収数は1,994件です。
文責:ライターズラボ編集部(2026年10月15日(木)09:27執筆)


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