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桃太郎の「しば刈り」は芝刈り? 柴を集める仕事と昔の燃料事情

山里で細い枝を集めるおじいさんの柴刈りのイラスト 雑学・豆知識
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桃太郎のおじいさんが山へ行く「しば刈り」は、芝生を短く刈る「芝刈り」とは違います。ここでの漢字は「柴」。野山の細い枝などを集める仕事で、集めた柴は、火を起こしたり物を煮炊きしたりするための燃料になります。

ひらがなで読むと同じ音なので、公園や庭の芝生を思い浮かべても不思議はありません。漢字を一文字確かめると、おじいさんが山へ行く理由が見えてきます。この記事では、柴刈りの意味と用途、桃太郎の冒頭を読むときの注意点を説明します。

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物語に書かれているのは「柴刈り」

政府広報の「Highlighting Japan」2014年6月号に掲載された「桃太郎(仮訳)」には、おじいさんの行き先と仕事が「山へ柴刈りに」と書かれています。この掲載本文では、芝生の手入れをしているわけではありません。

「芝」は、地面を覆う草や芝生を指すときに使う字です。それに対して、ここでの「柴」は細い枝などを指します。聞こえる音が同じでも、草を刈る仕事と、燃料にする枝を集める仕事では目的が違います。

同志社女子大学の吉海直人教授による「しばかり」の解説も、柴刈りを枯れ枝を拾い集める仕事として説明しています。大学の授業で芝刈りと受け取る回答があったという報告もあり、この混同は特別な読み間違いではありません。

枝を集めて何に使う?

電気やガスで調理をする暮らしから考えると、小さな枝を集める作業は用途が分かりにくいかもしれません。火を使って調理や給湯をする暮らしでは、燃やすものを用意する必要がありました。柴や薪、炭は、そのための燃料です。

かまどは、火を焚いて鍋などを熱する設備です。囲炉裏(いろり)も、家の中で火を扱う場所でした。集めた枝は、こうした火を使う暮らしに関わります。ただし、桃太郎のすべての本文に「おじいさんが何のために使ったか」まで書かれているわけではありません。燃料としての一般的な用途と、物語に明記された出来事は分けて読む必要があります。

今も、枝を集めることと燃料として使うことを結びつけた活動があります。林野庁が公開する森林教育の活動資料には、公園の折れた小枝を集め、焼き芋に使う取り組みが紹介されています。「柴」を具体的に想像するには、芝生よりも、束にした細い枝を思い浮かべる方が近いのです。

柴刈りは大木を切り倒すこと?

山で木に関わる仕事だからといって、柴刈りを、大きな木を根元から切り倒す作業と同じに考える必要はありません。枝や小さな木などを集める作業が中心になります。

また、「刈り」という字があるので、必ず刃物で切っていたと決めることもできません。林野庁の活動例では、落ちている枝を拾っています。言葉が表す作業を考えるときは、一文字だけを現代の身近な作業へ当てはめず、何を集めるのかまで確かめると理解しやすくなります。

「おじいさんは柴を売っていた」と説明されることもあります。しかし、先ほどの政府広報の本文には、その売り先や収入までは書かれていません。柴の販売という当時の暮らしの解釈を、桃太郎のどの話にも共通する出来事として付け足すのは避けたいところです。

桃太郎の話は一種類だけではない

絵本や地域の昔話には、同じ桃太郎でも異なる筋書きがあります。国立国会図書館の讃岐版桃太郎についての照会記録は、異なる伝承と、それが載っている本を紹介しています。地域の話には、桃太郎自身の山での仕事が登場するものもあります。

そのため、手元の絵本を読まずに「本来の桃太郎は必ずこうだった」と言い切ると、別の話を見落としてしまいます。この記事の冒頭の表記確認は、政府広報の掲載本文を対象にしています。別の絵本や昔話集を読むときは、その本の文字と説明を確かめるのが確実です。

子どもに聞かれたときの短い説明

「おじいさんは山で何をしていたの?」と聞かれたら、こんな説明ができます。

芝生を刈っていたのではなく、柴という細い枝などを集めていたんだよ。昔はそういう枝も、火を焚くための燃料に使っていたんだ。

この答えなら、どんな作業なのかと、なぜ必要なのかを一緒に伝えられます。ここでの「柴」は木の名前ではなく、集める枝などを表す言葉です。おじいさんの道具や収入、家の設備の細部まで説明したくなったら、それが読んでいる本に書かれているかを確認してください。

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