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二枚目・三枚目の由来は歌舞伎の看板~顔の順位ではなかった

一、二、三の木札と扇。文字は「二枚目・三枚目」「由来は歌舞伎の看板」。 雑学・豆知識
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「二枚目」は顔立ちの整った男性、「三枚目」は人を笑わせる男性。そんな使い方を耳にしますが、なぜ一枚目ではなく二枚目なのでしょうか。もともとの「枚」は顔を数えたものではありません。歌舞伎の劇場に掲げた、俳優の名前の看板に関係しています。

二枚目と三枚目を、容姿の一位と二位のように読むと由来を取り違えます。まずは看板の並びと、舞台で受け持つ役を分けてみましょう。

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二枚目は、美男の役を得意とする俳優の看板から

日本芸術文化振興会の教材では、若く美しい男性を演じ、和事を得意とする俳優の名を、二枚目の看板に掲げたことが語の由来と説明されています。和事(わごと)は、柔らかく優美な物腰を見せる演技や役柄です。はじめての歌舞伎・よくある質問

ここで数えているのは、美男子の人数ではなく、劇場に飾られる看板の位置です。「二番目に美しい男」という意味で二枚目になったわけではありません。看板に書かれた俳優がどんな役を得意とするか、その特徴が呼び名と結びついているのです。

今の会話で「あの人は二枚目だ」と言う場合には、歌舞伎を演じることまでは求めません。ただ、言葉の出発点を知ると、単なる顔の評価と、舞台上の役柄を区別して読めます。

三枚目は、笑いを担う道化役から

同振興会の『歌舞伎事典』は、三枚目を道化役と、その役を演じる俳優の呼び名としています。江戸時代の劇場正面に飾られた名前の板では、道化役の名が三枚目に置かれることが多く、それが呼び名になったという説明です。歌舞伎事典・三枚目

三枚目は、舞台で笑いを生む仕事を受け持ちます。話をかき回したり、深刻な場面に別の調子を加えたりする役です。「美男ではないから余った役を任された」と考えると、演技の役割が見えなくなります。

歌舞伎の役柄解説でも、道化方(どうけがた)は、衣裳や振る舞いによって観客を笑わせる役として紹介されています。顔だけで決まる分類ではなく、どう演じ、場面に何を加えるかに関わる言葉です。はじめての歌舞伎・役柄

では、一枚目は何だったのか

『歌舞伎事典』の三枚目の項目には、一枚目の名前の位置を「書出し」とする説明もあります。読みは、かきだし。看板の先頭に書かれる位置の呼び名です。

少なくとも、この説明に顔の美しさを一位から並べる仕組みは出てきません。「一枚目が一番の美男で、二枚目はその次」という解釈は、看板の位置と容姿の評価を混ぜたものになってしまいます。

もう一つ注意したいのは、三枚目の由来が「三枚目に多くあった」と説明されている点です。どの劇場でも、いつの時代でも、すべての看板が同じ役柄順で並んだとまで断定する必要はありません。「看板の位置に由来する」という説明と、「例外のない固定の一覧表だった」という説明は別です。

二枚目が笑わせることもある

二枚目と三枚目は、互いに混ざらない性格診断のようなものでもありません。日本芸術文化振興会の『恋飛脚大和往来』の解説は、主人公の忠兵衛を、二枚目の色男でありながら滑稽さも見せる役として紹介しています。歌舞伎への誘い・恋飛脚大和往来

松竹の公演紹介にも、五郎七という役を、二枚目と三枚目の両面を持つ上方歌舞伎の役柄として扱った例があります。歌舞伎美人・南座「吉例顔見世興行」

恋の場面を担う人物が、おどけて客席を笑わせることもある。それを「二枚目なのに三枚目へ格下げされた」と受け取る必要はありません。一人の役の中に、色気も笑いもあり得るからです。

人物紹介で「二枚目だけれど三枚目の役もできる」と書かれていたら、容姿の評価が途中で変わったのではなく、演じられる役の幅について述べている場合があります。文章の前後に、役や演技の話があるかを確かめると意味をつかみやすくなります。

意味を確かめるときは、看板と役を分ける

二枚目は二番目に美しい人、三枚目は三番目に美しい人。そう覚える必要はありません。二枚目には美男の役、三枚目には笑いを担う道化役という、舞台での役割が関係しています。数字の由来は、俳優の名を掲げる看板です。

身近な言葉でも、今の使い方だけを眺めると、元の仕事や場面が分からなくなることがあります。昔の挨拶の言葉を知りたい方には、当サイトの「仁義を切る」の言葉と口上も参考になります。

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